れのん。 さんの感想・評価

4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

また山に登りたくなった …… 登山にいざなう、ゆる萌え物語

2014年　7月～ 12月　放送（１５分×２４話）
原作　漫画　しろさん 　　アース・スター エンターテイメント
シリーズ構成・監督　山本裕介さん
キャラクターデザイン・総作画監督 - 松尾祐輔さん
制作　エイトビット

　原作未読

　ヤマノススメは、ゆる萌えの癒しにくわえて、山の楽しみと魅力をよく伝えているところがすばらしいと思いました。
　山行の描写のあいだに、日常の描写がはさまっています。あおいとひなたがちょっとけんかしたり仲直りしたりする友情エピソード、蛍の話、お祭りでのここなの金魚すくいのすごわざなどなど、印象に残る日常の描写がたくさんありました。

　登山を知らない人も登山経験のある人も、楽しく観ることができる作品で、ちょっとした登山入門にもなっています。登場人物たちは皆いい人で、メインキャラのあおい（cv 井口裕香さん）、ひなた（cv 阿澄佳奈さん）、ここな（cv 小倉唯さん）、かえで（cv 日笠陽子さん）たちは、可愛いし癒されます。
　
　１期もよかったですが、５分×１２話でしたね。２期は１５分×２４話なので、パワーアップしています。このような日常を描いているアニメについては、１５分×２４話もいいと感じました。

　皆さん書いておられますが、かえではともかく、あおい＆ひなたは、ビジュアル的にもキャラ的にも声のあて方も、高校一年生には見えませんね。とてもかわいく描かれているので、中学生～小学高学年の雰囲気です。
　しかし、この作品では、可愛い少女たち四人組の登山を描きたいわけなので、さすがに主人公たち全員が小中学生では、話が成り立たないです。あおいやひなたはバイトをしているし、四人だけで山小屋泊の山行をするわけだから、見た目はともかく、やはり高校生の設定でないとね（ここなは中二ですが）。
　つけくわえると、あおい、ひなた、ここなたちのそれぞれの家庭もあるていど描かれていることに、自分は好感が持てました。それにしても、みんな、素直ないい子です＾＾

　あおいが登山初心者で、みていて時々ひやひやしましたが、主人公をそういうあおいに設定したのは、登山への誘いとしてよかったです。
　なにより、この作品は、登山の楽しみだけでなく、登山のしんどさ、苦しみ、挫折もあるていど描いているのがすぐれたところです。{netabare}山でしんどくなったあおいが「なんでこんなしんどいことをしてるんだろう」と思うところとか、富士山で高山病により挫折するところとか。{/netabare}

　また、登山道具・登山の初歩的な知識の説明もあり、山での注意点を踏まえて描いているのがよかったです。
　山での風景をはじめ、山での体験の描写、街の様子などなど、ロケハンをしっかりやって、スタッフが情熱を込めて作り上げた作品だと言うことが伝わってきました。


　自分は、中学の頃に友人たちと日帰りの山行を始め、高校の時に富士登山、さらにその後、北アルプスをはじめ、かなり多くの山々に登りました。
　ここ何年か、山からはなれてしまっていましたが、この作品をみて、できれば、また山に登りたいと思うようになりました。アニメのもっている力ですね。

　このアニメを観ていると、思い出したことがたくさんあって。。。

　たとえば、この作品の富士山の描写は、風景、山小屋の様子、人々が登っている様子、ご来光などなど、自分の記憶の中にあるものがとてもよく再現されていました。
　ご来光は天候に左右されるので、いつでもみられるわけではないですが、自分も幸い、ご来光をみることができた上、標高3700mを越える富士山頂から、駿河湾をはじめ下界をはるかに望んだことを思い出しました。自分は、富士登山では幸い、高山病にはなりませんでした。酸素が薄いのでふつうより登山がきつく感じましたが。

　谷川岳や富士山のような高い山になるほど、異世界、非日常に出会うことになると思います。岩場鎖場でのちょっと怖いような高度感、雲海、ガスのかかった尾根道、雷鳥の親子との出会い、迫力のある岩場での岩登り（こどもの頃、岩登りして遊んだことがありましたが、あれは大人になっても楽しい）などなど。
　自分は剱岳で、悪天候の中、雷鳥の親子にであいましたが、あまり逃げなかったです、よくぞこんな過酷な自然の中でと、ちょっと感動しました。

アニメでかえでさん、夏休みに北アルプス縦走、大キレットとか言ってましたが、槍穂高縦走ですね。一般ルートですがあるていど体力技術が必要なコースなので、女子高生の単独行としては、かなりすごいです。
　
　 {netabare}富士山、あおいの失敗は高山病なので、リベンジすることがあれば、もう少しゆっくり高度になれていけば大丈夫なのではないかな。{/netabare}

　あと、アニメの中の話ではありますが、山やるんだったら、ほんとはふだんからもうすこし体力作りしてた方がいいんじゃないかなー、とは思いました。

　自分は、谷川岳には登ったことがないのですが、土合駅の階段はすごいですね。

　作中で、あおいたちがかえでに言われて登山届けを出しているのは、当然のことなのですが、えらいです♪　自分は、ときどき登山届けをだしそびれたことがありました・・・。


　自分には、山を教えてくれた人がいて、その人（大学の先輩）は自分にとってかけがえのない人でしたが、病気で若くして亡くなってしまいました。私の山行のまえに、彼がよくいっしょに計画を立ててくれたのを、このアニメをみて懐かしく思い出しました。自分にとって、山は彼の想い出でもあります。


　op曲、ed曲もいいですね。元気が出るので自分は好きです。
　とりわけ、opのアニメーションが秀逸で、自分はバンダイの見放題でこのアニメをみたのですが、opだけを何度も繰り返してみたりしましたよ。

　これもよく言われていることと思いますが、あおいとひなたのキャストについて、阿澄さんと井口さん、普通なら逆な気がしますが、あえて、逆のキャスティングをしたのがとてもよかったと思います。他の方も書いておられましたが、阿澄さん（「趣味は井口裕香」と言っているそうな）と井口さんの二人は、リアルでも仲がいいそうですね。

　飯能市では、成人式にヤマノススメセカンドシーズンの第一話を新成人みんなに見せたそうですが、さすがにやりすぎのような気もします^_^;
　市長さんかだれかが、ヤマノススメで飯能市が紹介されたのが、よほどうれしかったんでしょう。

　 ３期については、監督の山本裕介さんが「はっきりと決まってないが話は出ている。アーススターはやりたがっている」と言っていますが、どうなるかわからないですねー。

　しかし、真剣に、３期みたいなと思います。

　原作も、５～９巻はまだアニメ化されてないようだし。