westkage。 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ストーリー的な派手さは無いものの、キャラクターの心理描写などが優れており高い評価を付けられる作品。欲を言えば序盤のテンポの良さを最後まで維持出来れば尚良かった☆
本作は「葉月抹茶」の漫画を原作とした作品です。漫画は2012年1月~2015年1月までの3年間‘月間ガンガンJOKER’で連載され、テレビアニメは2014年4月~6月にかけて全12話放映されました。
あらすじ…高校生の主人公「長谷祐樹」はクラスでいつも浮いている同級生のヒロイン「藤宮香織」の事が気になっていた。香織は無口な女の子で、いつも教室では一人で過ごしていた。ある日祐樹は二人きりになった事をきっかけに「俺と友達になって下さい」と香織に話しかける。しかし香織は表情を曇らせ「嬉しいけどゴメンナサイ」と返答してその場を走り去った。こっぴどく断られるならまだしも「嬉しいけど」という単語が引っかかった祐樹は、諦めず再度香織に接近する。香織はまた祐樹を拒絶しようとするが、祐樹は引き下がらない。そして「友達じゃ無くてもいいからお昼を一緒に食べよう」という祐樹の強引な提案に気圧され、2人は‘昼休みの屋上限定’で会う事になる。昼食を一緒に取るだけとはいえ会話を重ねる事で次第に2人は友達のような関係になっていった。しかしその週の金曜日、香織は思いつめた表情で「もう私に話しかけないで」と言った。イキナリの発言に戸惑う祐樹。そして彼女はこう告げる…
「私ね。楽しかった記憶、全部月曜日に消えちゃうの。楽しかった記憶だけじゃない。仲の良い人とか、もっと一緒に居たいって思える人の記憶が一週間ごとに全部リセットされちゃうんだ…」
総評として「ストーリー的な派手さは無いものの、キャラクターの心理描写などが優れており高い評価を付けられる作品。欲を言えば序盤のテンポの良さを最後まで維持出来れば尚良かった」といった感じです。個人的には結構お気に入りの作品となりました。目立った設定や展開があるような作品ではありませんでしたが、キャラクターの感情表現など細部までこだわって描かれておりますし「丁寧に作られた良作」という印象を受けました。見て良かったと思います。
●良かったと感じられる点
1・ヒロインがひたすらかわいい
これはビジュアル的な観点ではなく内面的な彼女の純粋さが上手に描かれている事が評価として大きいと思います。決してあざとい訳でもないのに、自然な表現でここまでヒロインの存在感を出す事が出来たのは、間違いなく原作者の手腕でありましょう。
2・日常だけど非日常 ~設定の秀逸さ~
今作にファンタジーな要素は一切なく、特殊な用語や設定を理解する必要はありません。しかしヒロインが‘前向性健忘’ 記憶障害を持っているという特殊な設定が視聴者の興味を大きく掴みます。つまり日常生活という誰もが解りやすい環境をベースとして、誰も体験した事の無い物語が展開される所にこの作品の良さがあると言えます。
3・序盤のテンポの良さ
序盤は1話ごとのテンポが速く、内容が充実しているのに時間を感じさせない様な‘構成の巧み’さが光っています。視聴者が物語に入り込みやすい&飽きさせないように考えられているな…と感心させられました。この作品をみて序盤のテンポの良さは非常に重要な要素である事を確信する事が出来ました。
●悪いと言うほどではないが物足りなく感じる点
1・爽快感の無さ
アクションアニメじゃあるまいし‘爽快感’というのは違うかもしれませんが、あまりにも‘物語重視’過ぎる作風のため、ギャグ要素なども皆無ですし「してやったり!」とガッツポーズを決めたくなるようなスッキリするシーンもありません。これが後半少しだらけてしまう要因に感じられます。
2・主人公が若干頼りない
特に後半はコレが目立ちますので「視聴者と感覚を共有する」という所には至れてないように思えます。もう少し彼にも活躍どころをあげてもよかったのでは?と感じる部分でした。
●(良い or 悪い)どちらとも評価出来る要素
1・展開の読みやすさ
展開が読みやすいと言う事=多くの視聴者に受け入れてもらえるパターンという事でもありますので、これは作品の方向性としてアリだとは感じています。逆に「意外性」には乏しいため「あっ」と言わせられる展開は皆無に等しかったかもしれません。
2・ラブコメ要素の低さ
表現を変えれば「純情なラブストーリー」という事かもしれません。個人的には作品の雰囲気が出ているので、これはこれで良かったと思います。逆に「ラブストーリーを見たい!」と感じる方には物足りなく感じられるかもしれません。
まとめますと…色々と感じられる部分はあったものの、楽しんで視聴を終える事が出来ました。最後もキレイにまとめられていましたし、特にレビュー序盤に書いた‘あらすじ’の部分を読んで興味を持って頂けた方には是非オススメしたい作品です。
*以下はネタバレレビューのため、閲覧は注意して下さい。
{netabare}
最後の最後まで「告白」はしませんでしたね。折角なので最後に結ばれて欲しかったな…とは思いますが、題名が「一週間フレンズ」なので仕方ないかもしれないですね。最後「俺と…私と…友達になって下さい!!」で終わっていましたが、個人的には「俺と…私と…」で終わっても良かったと思います。二人が今後どういう選択肢を取っていくのか…その辺りをあいまいにしてくれたら、色々と妄想は広がりますしね。
ホントかわいらしいヒロインを演じた声優さんは「アルドノアゼロのアセイラム姫」を演じた雨宮天です。エンディングテーマも彼女が担当していますが、透き通ったキレイな声だなと思いました。また今回が初ヒロインとの事でしたが、それを感じさせない演技力は見事だったと思います。
{/netabare}