どらむろ さんの感想・評価

4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態：観終わった

発想の秀逸さが光る2013年度ラノベ原作の大ヒット作。コメディー、萌え、燃えの配分が絶妙

ライトノベル原作、全13話。魔王と勇者…なのに、現代で働いたり貧乏生活したり、ラブコメしたり、ちょいバトルしたり。
「ギャップを活かした秀逸なコメディー」
「女の子たちも非常に可愛い」
のが特長、かつシリアスも適度に混ぜつつ、終始ハイテンポでコメディーしてくれる良作です。

「進撃の巨人」をはじめ強力な人気作ひしめく2013年度にあっても、上位の人気を獲得している大ヒットアニメです。
「カツドゥーン」
…これはかなり面白いのでは。
※コンビニ×　ファストフード店マグロナルドでした。こっそりご指摘感謝。

{netabare}『物語』
異世界では勇者と魔王が戦っていたが、ひょんなトラブルから我々の世界に来てしまった。
こちらの世界も戦火に巻き込まれるのか…！？
と思いきや。
「カツ・ドゥーン」※カツ丼の事です。
…序盤の、異世界文化ギャップ物の様相呈しているやり取りでまず笑わせてくれますｗ
主人公は魔王…なのに、こちらの世界では魔力あんまり使えず、とりあえず体制立て直すのか！？
と思いきや。
魔王は真奥貞夫（まおう・さだお）と名乗り、ファストフードチェーン「マグロナルド」で真面目に働くのであった…
勇者のエミリアも遊佐恵美（ゆさ・えみ。元ねたはゆうしゃ・えみりあ？）と名乗り、やっぱり真面目に働くのであった…
…異世界（彼ら視点では自分の世界）では恐ろしい悪のカリスマや超人的勇者なのに、こちらの世界では真面目な労働者というギャップや、異文化に慣れていく可笑しみなどが、テンポの良いやり取りでシチュエーション自体が非常に笑えます。
「マグロナルド」などのネーミングセンスも上手いｗ
…文化ギャップネタの鮮度は序盤過ぎると落ちてしまうか？と思いきや。
ダレてきそうな中盤で新キャラの鈴乃登場で再びギャップコメディーの鮮度が戻る構成も上手い。

時折結構シリアスなバトル要素もあり、完全に平和ボケした作風では無く、他勢力の陰謀や恵美が背負う辛い過去などで適度な緊張感も。
カッコ良く見せる時はしっかり見せ場ありつつ、それでも間抜けな日常が崩れない絶妙なバランスも良い。
バトル面は割とベタなのですが、真奥の普段とのギャップ故か、また「非日常と日常が混在しても、日常が大事」な印象が強かったのも好感持てる。

バイトの後輩の千穂ちゃん（かなり良い子で可愛い）のほのかなラブコメの波動を感じたり、ツンデレなエミリア（視聴者からは「ベジータ系女子と言われた」）と、敵対とも共闘ともつかない奇妙な関係や滑稽な掛け合いしたり、これらも文化ギャップと絡めて終始可愛さも可笑しさも途切れなかったです。

…総じて、魔王さまが現代日本で勤勉に働いているという秀逸な設定を最大限に活かしつつ、コメディーと萌えと若干の燃えのバランスが非常に取れていて面白かったです。
発想の勝利でしょうか。
終始面白かったのですが、終盤は若干ではありますが息切れした感も。
千穂ちゃんの世界の違い故の切なさなど、未解決の展開もあり…
…原作は未読なのですが、本作の醍醐味の大部分は1期で出尽くした感あり、秀作ではありますが、続編は1期超えられるかどうか？
それでも、もし2期あるならば是非期待したい作品です。


『作画』
安定して綺麗でした。エミリア、千穂ちゃん、鈴乃など女性陣が可愛いです。
バトル描写も意外と迫力あり、見せ場にメリハリがありました。

『声優』
逢坂良太さんの魔王、小野友樹さんの芦屋、漆原の下野紘さんら男性陣の掛け合いが非常に良く、ギャグを牽引してました。
下野さんは唐揚げが大好物…という事で、それ反映したネタもｗ
ヒロイン勢もエミリアの日笠陽子さん、ちーちゃんの東山奈央さん、鈴乃の伊藤かな恵さんいずれもはまり役、三者三様の可愛さと持ち味をしっかり発揮してました。


『音楽』
OP「ZERO!!」は栗林みな実さん担当の良曲、3種のEDも良い感じでした。
主題との完全なシンクロかは判断出来ないので、3.5点。


『キャラ』
全般にネーミングセンスが秀逸でこれだけでも可笑しいです。
異世界では強大なる魔王なのに、現代日本ではバイトの優良労働者な真奥貞夫が非常にユニークかつ魅力的でした。
悪の総帥なのになけなしの貴重な魔力使ってちーちゃん達を助けてくれたり、見せ場では最強系主人公の模範的なカッコ良さあったり。
彼の存在がコメディーもシリアスも全て牽引しており、「はたらく魔王さま！」のタイトルに相応しいです。

遊佐恵美こと勇者エミリアは視聴者から「ベジータ系女子」（魔王！あんたを倒すのは私よ！）と呼ばれたナイスなツンデレでした。
やはり模範的なヒロイン、シリアスな背景も結局コメディーに変換されていくのも、流石は魔王物の勇者ヒロイン！

ちーちゃんこと千穂ちゃんは現代日本の一般人代表、気立ての優しい非常に良い子で可愛いです。
エミリアとは色んな意味で好対照（胸とか、日常と非日常など）、このダブルヒロインの魅力も大きいです。

魔王の側近で大元帥なのに、こちらでは主婦もとい主夫状態な苦労人・芦屋ことアルシエルのオカンっぷりも笑えましたｗ
ルシフェルこと漆原のニートっぷりと合わせて3人組の掛け合い自体が面白く、実に秀逸なキャラクター。

鈴乃は中盤以降異世界に慣れてしまった魔王たちに代わり、文化ギャップネタの鮮度を戻してくれた貴重なギャグのリリーフ要員でしたｗ
萌え的にはちーちゃんに次いで可愛かったです。
和服、世間知らず、凛とした伊藤かな恵ボイス…萌えます。
本作はヒロイン三者三様で可愛いのが素晴らしい。

この他、敵は割とガチな悪もいたりしつつ…あまり深刻になる前に良い意味でのカマセになってて良い感じ。
真奥貞夫のユニークさをもって5点です。{/netabare}