craftbeer さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
家族の繋がり
『仕事・恋愛・家族』をテーマにしている点はテレビ版と変わりませんが、映画版はその3つのテーマを補足し、特に副題からも分かる通り『家族』をメインテーマにして過去と現在を繋ぎ、テレビ版の内容に奥行きを加えてくれた作品です。
話の内容は主人公緒花の母親の皐月が、カメラマンだった亡き夫とどのように出会い恋に落ちたのかを、女将修行に来ていたライバル旅館の娘で、緒花の同級生の結名が落とした(ぶちまけた)業務日誌から、皐月が緒花と同じ年頃だった時の断片的な話を、緒花が見つけるところから話が動きます。
それに加え、緒花と同じ仲居仕事をする同級生の菜子の、忙しい両親と幼い兄妹のため親代わりに頑張る家庭環境が緒花の家族の記憶と重なり、また皐月も亡き夫が残した写真を通じて過去と現在を繋いでいきます。他にも緒花がハワイ語の『家族』を指す言葉であることや、蓮さんのミスを喜翠荘の全員でフォローする場面など、随所に家族の繋がりを連想させるシーンがあります。
また3つのテーマに付随する『輝きたい』と願う気持ちも、主要人物それぞれに見られテレビ版の補足になっています。特に皐月に関してはこのテーマが過去と現在を繋ぐキーワードになります。
テレビ版も通じて感じたことですが、ざっくり言えば「輝くこと=目標を達成させること」で、そのために頑張ることが『ぼんぼる』という意味だが、目標に向かって頑張る姿自体、それが腕を先輩に認めてもらうことや旅館経営を頑張るという負けん気などを第3者が見たら、それだけで輝いてみえる。『輝くために頑張る=ぼんぼる』という自ら輝く意味だけでなく『頑張る姿は輝いている=ぼんぼる(ぼんぼっている)』という自ずと輝く意味も含んでいるのかもと勝手に深読みしてしまいました。