退会済のユーザー さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
骨太の世界観が良い
原作があるからなのでしょうけど、造られた世界観がしっかりしています。
これから観られる方、最初は解らない事ばかりでしょうけど、挫折しないで、頑張って観てください。
アニメや映画でのSFは、上辺だけのとても浅い作品が多い中、このお話は、最終的にかなり本格的なSFが堪能できます。
SFって言うと、何でもアリのドラえもん秘密道具みたいなものと感じられている人が多いと思いますが、本当の面白さはそこではないと個人的には思っています。 それはサイエンス・フィクションに限らず、この作品の様なサイエンス・ファンタジーでも同じです。
作者が造った世界でのバタフライ・エフェクト(地球の裏側で蝶が羽ばたいた影響がどう自分に及ぶのか)を推理する… もしくは、自分の前に提示されている世界の根底をなすものが何かを探る… というような、作者との知的ゲームこそが、SFの楽しみ方の代表的なひとつなのではないかと…
この作品は、その観点から見ても、楽しめる作品に仕上がっています。
もちろん、作者の世界観に満足するかどうか、そこは別問題ですけどね。(笑)
その考え方で作られた作品の多くは、人間の描き方が浅いとか、主人公の考え方に共感できないとか、そういう指摘を受ける傾向が強いようです。 この作品ももれなくそのパターンに該当するようで…
{netabare} 記憶からも消えてしまったクラスメイトへの思い入れに共感できない。 突如描かれる同性愛についていけない。 などなど、最近流行りの、リアルと等身大で描かれた主人公たちへの思い入れほどのめり込めないのは当然と思います。
そこまで描き始めたら、おそらく倍くらいの話数が必要となるでしょうし、そもそも、異世界のお話ですので、主人公たちの思考に100%共感できる必要もないのかもしれません。 {/netabare}
あとは、個人的に不満に感じたところを少々。
{netabare} アニメの見せ方としての不満は…
神栖66町には、茅輪の郷・松風の郷・白砂の郷・水車の郷・見晴の郷・黄金の郷・櫟林の郷の7つの郷があるとか、和貴園・友愛園・徳育園の3つの小学校があるとか、この世界への入口の部分はもう少し絵図を交えて説明した方が解りやすいですよね。 特に「郷」は途中で主人公たちの記憶が操作されたことを、視聴者に衝撃的に感じさせる演出のためにも・・・
(コロニーの勢力説明には図が使われていたのですが、逆にあれは無くても理解できます)
同じ理由で、記憶操作によって主人公たちのグループの一員となった 良 への違和感も、もう少し丁寧に描いた方が良いと感じました。
原作への不満は…
(未読ですので、もしかするとアニメで省かれているだけなのかもしれません)
八丁標から漏れ出した「呪力」によって生物の形態が歪められたという事への伏線が何重かあっても良い様な気がしました。 また、どんな「呪力」がどう影響しているのか… これは 瞬 が「業魔」となってしまった時の周りの描かれ方、特に普通の姿をしていた愛犬がどの様な影響を受けて変貌するのかまで解ると面白いです。
バケネズミの正体が人間だったという結末は良いのですが、必然性をもう少し補強しないと… なんとなく「へ~」で終ってしまいます。 同様に、中学(全人学級)に進級できなかった子たち、クラスから消える子たちも、もう少しスポットを当てると、恐怖感が増す様な気がしました。 {/netabare}
個人的嗜好の問題ですので、それなりの不満はありますが、かなり楽しませてもらえました。
このサイトでの評価は、他サイトと比べてとても正当な評価をされている方が多いと感じていますが、この作品に関しては、もう少し高くても良い様な気がします。
あと、エンディングテーマ「割れたリンゴ」がカッコいいですね。
ドラマ「SPEC」の「波のゆくさき」のアコースティックバージョンに似て。