空知 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
日本のアニメ史上における不朽の名作のひとつ
原作未読。
はずかしかったので書き直しました(笑)。
観るまでは時代が時代なので、作画は期待できないと思っていましたが、デジタル・リマスターしてあるとはいえ、鮮明な色、ブレない画像、忍者の素早い動きを丁寧に描写しています。
また、頻繁に出てくる犬や鳥などの動物の描写も素晴らしく、1969年の作品だとは思えません。
また、登場する「くのいち」も美しく、女性のキャラデザに魅力があるのも特徴の一つです。
(手塚は女性の色気を描くことが苦手で、白土に嫉妬心を抱いていたという逸話があるほどです。)
白土三平の原作、「カムイ伝」の一部を「カムイ外伝」としてアニメ化したものです。
白土のライフワークとも言える息の長いマンガです。
時は、17世紀の徳川幕藩体制。
伊賀忍者(現在の三重県)のカムイが、忍者をやめた後の物語です。
忍者をやめることを「抜忍(ぬけにん)」といい、彼らの世界では許されることのない絶対の掟です。掟を破ることは、死を意味します。
{netabare}カムイは、掟を破って抜忍となったために、追っ手と戦い続けるのが本作の流れです。{/netabare}
{netabare}第2話で、カムイにあこがれ忍者になろうとする少年に対して、「やめておけ。忍者は人ではない。」{/netabare}というセリフがありますが、調べると分かるように、これは身分差別における「非人」を意味します。
カムイは非人の中の最下層ですが、物乞いをしたりせず、誇りを持って生きるために、誰よりも強い忍者になろうと努力するのです。
徳川幕府というきらびやかな時代劇とは裏側に、名を知られぬこともなく死んでいった多くの命があります。
カムイは優しい。
しかし生きるために抜忍となっても殺しを続けなければならないことの葛藤。
作品全体に流れるテーマは、身分階級の残酷さと、自由を求めて抜忍になったカムイの峻厳たる孤独感。
孤独が陰のように常にカムイにつきまとっています。
そこへ、エンディングが流れます。
『しのびのテーマ』(水原弘)
尺八とともにオーケストラが流れます。
水原弘はレコード大賞を取ったほどの大物歌手ですから、
今の時代で言えば、アニメのOPとかEDにとんでもない歌手を起用するくらいのインパクトがあります。
非常に重厚感がある名曲です。涙を誘うような魅力があります。
よかったら一回聞いてみてください。
日本のアニメ史上における不朽の名作の一つです。