けみかけ さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
あの日見た僕の妹は探偵なんか全然好きじゃないんだけど友達は漢字が読める
今作では2つの時間軸とお話が並行して進んでいきます
一つ、新十郎と因果の出会いについて
二つ、敗戦探偵の出生の秘密について
テレビシリーズ本編に繋がるまさに episode:0 です
すべての辻褄を合わせるべく組まれたお話という第一印象でしたが、本編放送前に公開する手段があったにも関わらず、監督がこれを拒否
第6話放送後のタイミングで公開と相成ったわけです
面白いのがこーいったテレビシリーズと平行して作られた映画作品は大体別働隊のスタッフで制作されるのですが、今回の因果論はまんまテレビシリーズのスタッフが合間を見て作ったようです
ですから映画にしては画面のクオリティはそこそこ
重要なポイントは、これを最初に観ないとUN-GO楽しめませんよ、とか“そーゆーお話ではありません”
むしろ途中か最後に観た方が感慨深くなるよう演出されている内容ですので、そこはご自身のお好きなタイミングでどうぞ
これを観れば本編の素朴な疑問はほぼ全て合致することでしょう
別に『因果論』自体を観なくても本編を楽しむことは十分出来ますから、テレビシリーズ『UN-GO』という作品が少しでもお好きになれた方に送る【番外編】という感覚でお楽しみ下さい
キャラ原案のpakoさんがこの作品に贈った言葉を借りるならば
【因果論とはUN-GOという作品の修正パッチではなく、追加ディスクだ】
というのがまさにピッタリ
ネタバレしたところで本編がつまらなくなることはないはずですし、そう踏んだ上で少々ネタバレ気味に行きます
ご容赦下さい
{netabare}まず結城新十郎が「戦場には虚しい死しかない」と言い続ける理由がハッキリとします
本編では結構ざっくりと『大きな戦争があった近未来の日本』とされてきましたが、その開戦の謎も明らかとされます
若かりし日の新十郎たちが戦争の引き金にとなってしまうのですが、しかし新十郎の過去には戦争のキッカケよりも悲惨なことが起きます
因果と遭遇し、とり憑かれた彼が自分の意に反して片っ端から人を殺してしまうのです
そして因果の正体、なぜ因果は変身するのか?
これはもっと早くに気付く人がいてもおかしくありませんでしたねー、新十郎が因果に対して甘い理由もわかります
冷静に因果のキャラデザを見ればわかりますよ
明らかに因果に付き纏われる新十郎が、なぜ因果を拒否しないのか、うっすらと見えていた二人の関係性が全て明かされます
この映画での新十郎は虚無感に満ちていますがその辺りがどのようにしてテレビシリーズで漂わせている哀愁へと変化していくのか、お楽しみいただけると思います
逆に未だにテレビシリーズでトリックが雑や、とか
謎解きがチートや、とか仰る方は見ない方がよろしいことでしょう
別天王の存在は因果のチート能力の比ではありません
この二人が揃ったことでほとんど異能力バトルアニメみたいになってますんでw(戦闘シーンがあるとか、そーゆー意味では御座いません)
謎解きがお好きな方は余計に気分を害され憤慨なさること確実です
見どころはあくまで敗戦探偵=結城新十郎の誕生 です{/netabare}
ツイッター上では映画としての完成度を評価する声をチラホラと見ましたが、その辺は正直期待外れと言うか・・・
中編映画なら『蛍火の杜へ』の方が数倍よく出来てますし、あくまでUN-GOシリーズファンに向けた作品であることに違いないです
UN-GOという作品の面白みは、どことなくな哀愁に満ちた結城新十郎という主人公に隠されている思うんですよね
新十郎に少しでも魅力を感じていただけたのであれば今作、是非オススメです
無理に見なくても大丈夫だと思いますが、見ておけばUN-GOという作品がより好きになっていただけること請け合いですb