「残響のテロル(TVアニメ動画)」

総合得点
82.2
感想・評価
2161
棚に入れた
11409
ランキング
371
★★★★☆ 3.7 (2161)
物語
3.7
作画
3.9
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.6

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 2.5 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

全体的に詰めの甘さを感じてしまう

劇中でも沢田 研二の名前が出たが、自分も序盤の展開で最初に思い出したのは沢田 研二
主演の「太陽を盗んだ男」。
 もっともあちらの目的はかなりふざけたもので、それゆえに狂気に満ちたものがあったが、
こちらはかなり真面目という印象。

 社会全体に戦いに挑むという点では、ナインとツエルブの行為は一種の革命を思わせたが、
終盤において判明する目的の真意ははかなり私的かつ、真意も焦点を絞ったもので、社会全体は
そのダシにすぎなかったみたい。
 一般人に被害が及ばないように苦労しているが、そもそもの目的がナインとツエルブが
アテネ計画の被害者であるという部分に立脚しているため、今度は自身の行為により被害者を
出してしまうのは、自身の行動に矛盾が生じてしまうために避けなければいけないものみたい。
 まあ、メタ的には主人公を本当のテロリストにできなかったというのもあるのだろうけど。
 ただ、終盤の成層圏核爆発などは直接的な原子爆弾により死者はいなかったとしても、
電磁波ですべての電子機器が壊れるのなら、かなりの部分が電子化された現代社会において、
ライフラインの欠如による間接的死者などはいたはず。
 どうもやっている行為に対して、なんとかきれいごとで収めようとしている感が強い。
 個人的には死者を出さないというきれいごとを捨てて、自身の私的目的のために他者の犠牲も
やむなしと考えるぐらいのダーティーさを見せても良かったかもと思う。
 そうなった場合、作品に対する批判はかなりきそうだが。

 出だしの核燃料再処理施設の強奪から緊迫感溢れる展開で、その後のナイン・ツエルブと
柴崎 健次郎の頭脳戦はなかなか魅せてくれる。
 ただ、なぞなぞのくだりなどは面白かったが、実際の爆弾設置などはやや安直にうまくいって
しまう感が強く、二人の頭脳が冴えると言うより、警察がお馬鹿さんに見えてしまった。

 中盤より登場するハイヴだが、扱いが非常に中途半端な印象。
 話をうまく回せればナイン・ツエルブ、柴崎グループ、ハイヴを中心とするアメリカ組の
三つどもえの攻防が描けたのかもしれないが、結果としてハイヴの登場により前半に存在した
焦点がかなりぼやけてしまっただけの感が強い。
 もう一人のヒロインである三島 リサの扱いも「なんだかなあ」という印象で、序盤に
おいてはリサにとってのナイン・ツエルブが閉塞感のある日常から解放してくれるような存在の
ように描かれたが、その後の描写が不充分なためか、その関係性、及び双方に変化が
感じられず、結局はリサがナイン・ツエルブの足を引っ張っていただけの印象になって
しまった。
 全体的にこの作品、ヒロインの扱いが下手な印象。

 こういう重厚なリアルタッチの作品はストーリー、設定などの細かい部分を詰めてないと
駄目だなあという思いが強く、この作品はそういう部分が甘かったように思える。
 作品自体が持つ空気感は非常に好きだったんですけど。
 あと作画と音楽は非常に良かった。

投稿 : 2015/09/06
閲覧 : 287
サンキュー:

4

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