空知 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
いろいろと考えさせられました
未来における科学技術の発達により、アンドロイドが人間と会話をしたり、一緒に寝たりすることによって人間の癒しになることはあるのかもしれませんが・・。
アンドロイドのアイラ。人間であるツカサ。お互いが惹かれ合い、純粋に相手を想い合う感情が、アンドロイドと人間との間で成り立つのか?そういうツッコミはいくらでもできる作品です。
しかし、何度か観て、この作品の命題は「全てに終わりがある」ということなのだと思いました。アンドロイドでなくとも、人間の命は必ず終わる。それは1000時間先かもしれないし、50年先かもしれない。そんな短い人生で人は何を一番に優先すべきなのか?それは誰にも分からないし、正解もないでしょう。アンドロイドも人間も、そういう意味では同じです。
僕は「自分の存在が誰かのマイナスにはならないこと」が人生の幸せだと考えています。
命には限りがあることは当然のことですが、日常生活で私たちは死への恐怖を意識しないように無意識が命令しているように思うのです。
アイラに残された寿命は、僕達人間に突きつけられた問題なのだと思います。
明日死ぬ可能性だってある。肉親に残されて苦しむくらい長生きする寿命もある。
アイラとツカサがお互いを思いやり、命の限り愛する姿はとても素敵でした。純粋な愛。久しぶりにアニメで観た感じがしました。
最終話で、ツカサの前に現われた新しいパートナーは誰だったのか?
アイラではないと思います。そう信じたい。
僕は肉親も失っているし、大切な友人が他界した経験もあるのですが、彼らが同じ姿と声で僕の目の前に現われたのにも関わらず、「はじめまして!」と笑顔で言われるのはあまりにも辛すぎる。現代の延命(認知症も含め)医学に対するオールタナティブを発信している作品だと感じました。
ただ、OSがなぜ9年4ヶ月で入れ替えなければならないのか?
OSを入れ替えなければならないのなら、バグフィックスのみにしておいて、記憶領域をなぜ消し去らなければならないのかが疑問でした。
せっかく良い題材であるのですから、徹底的に生命倫理、医学倫理、科学倫理を突き詰めた作品に仕上がっていない点が残念でした。良い作品であるがゆえに厳しい感想となりました。