STONE さんの感想・評価

3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

互いに支え合う関係性がいい

　原作は未読。
　女の子達が一つのことに取り組んでいく展開はベタながら良くできており、一人づつ
メンバーが増えていく過程は少年向けバトルものや冒険ものに通じる心地良さがある。
　主人公の関谷 なるは極度の引っ込み思案であるため、ハナ・N・フォンテーンスタンドに
背中を押される形で前に踏み出すことができたが、他のメンバーもそれぞれに問題を抱えて
おり、互いが互いを引っ張り合うような関係性が見ていて気持ちいい。
　ただ、悩みを解決して、よさこい部に加入というパターンが続き、各エピソードは単体と
しては悪くないが、1クールで連続して見せられるとちょっとしつこいかなという感も。
　この加入時以外もお悩み解決回がほとんどで、緩急を付ける意味でも単にメンバーが日常を
楽しんで終わりみたいな回があっても良かった気がする。
　もっとも1クールでそういう余裕がなさそうな気もするけど。

　メインモチーフのよさこいだが、現在全国で広まっているよさこいは劇中でも描かれている
ように伝統的なものではない。
　そのためハナがそれに憧れて、わざわざアメリカから日本に来たという設定を活かすためには
もっと伝統的なものをモチーフにした方が良かったのでは？と、最初は思ったりもしたが、この
自由度が逆にハナに取っ付きやすかったのかなとも思ったり。
　あと曲、振り付け、衣装の全てを自分達の手で作ることで、よさこい部の活動がより目に
見える形で描けるのは、伝統的ではないことのメリットかなと。
　ただドラマ部分に尺を取られたか、よさこいそのものを描く時間があまり無かったようで、
よさこいの魅力は伝えきれなかった印象。個人的にはもう少しよさこいのうんちくに時間を
割いても良かったかな。

　終盤、ハナが急遽アメリカに帰ってしまう展開に。
　「それぐらい親に相談しろ」と思わなくもないが、やっと親子水入らずで暮らせることに
なると、中学生なりの気を使ってしまったんだろうな。
　このアクシデントに対して、11話での空港での別れ、12話での花彩よさこい祭での再会と、
2段階の山場を設けており、この辺の盛り上げ方は上手い。

　この作品の全体的に残念なところはよさこいの踊りのシーンや、笹目 ヤヤのバンド演奏
シーンなど、ダイナミックな動きが必要なシーンに対して、止め絵を多用したり、省略したり
していることが多いこと。
　特には花彩よさこい祭はストーリー上最大の山場でありつつ、よさこい部の5人揃っての
お披露目ということで一番作画を頑張ってほしかったところであるが、OP画像の使い回しと
止め絵の多用でなんとも勿体ない。
　正直なところ、ストーリーに対して、作画が負けている印象が強い。
　まあ、こういう部分の作画が非常に大変なのは判るんだけど。

　キャラデザインは目にかなり癖があり、人によっては好き嫌いがありそう。個人的には
問題なしだったけど。
　作画的には色使いに華やかさがあり、作品の雰囲気に良く合っていたように思います。