uDOma32222 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
路傍の石
まず最初に、これから視聴する方、これから先に視聴する予定のある方は
私のコメントを読まない事をお勧めします。
先入観の無い目で作品を見て頂きたいからです。
{netabare}
私はこの作品が大好きです。
こんなに美しく透き通った作品を今まで見たことがありません。
唐突ですが、この作品を見る上で私が行った一つの方法を紹介します。
作中に沢山散りばめられている美しいと感じた心情や描写や出来事を一つ一つ丁寧に集めていく様に視聴しました。
あのシーン綺麗だったなとか、あの時の心情は美しく尊いものだなとか漠然にです。
そんなことをしながら最後まで見終えました。
全編を通して非常に練られた作品で、個々のシーンを見てもすばらしいのですが、細かな部分を書きだすと切が無いので割愛します。
以下、私の勝手な解釈が多分に含まれます。
{netabare}
次に、作品が伝えたかったことを考えてみましょう。
私は、この作品は全編を通して描いた騙し絵の様な物ではないかと考えています。
作中で表面的に見える出来事等は全く意味が無いと言ってもよいのかもしれません。
少し変わった見方をしないといけないのだと思います。
この作品を解くのに重要だと思われるキーワードを幾つか見ていきます。
①トンボ玉
透子が夏休みの終わりかけに作ったトンボ玉です。
これは透子が今までに集めた思い出(過去の欠片)を具象化したものだと考えました。
その思い出は良いものであったり、良くないものでもあったりしたかもしれません。
過去を振り返った時、当時は良くない思い出でも美しい思い出に変わっていることも多々ありますよね。
この夏、今までよりもっと多くのトンボ玉を集められたことでしょう。
いろんなことが起きましたからね。
②止め絵
作中度々登場するシーンです。
これは登場人物の思い出として切り取られたワンシーンなのだと考えました。
今、流れる時を捉えたような感覚で表現されています。
それが①のトンボ玉(過去の欠片)の中身です。
人物以外が写っていることもありますし、名前も無い登場人物のものもあります。
ですから、透子以外もトンボ玉(過去の欠片)を所有していることがわかるかと思います。
③流星群
流星群が極大になる日、全国的に曇りで見えるはずがなかった。
ですが、透子と駆が投げたトンボ玉が空へ弾け飛び、その後みんなに流星が見えました。
みんなが見た流星は透子や駆のトンボ玉だったのでしょうか。
私は、②のようにみんなが個々に所有するトンボ玉(過去の欠片)であったと考えています。
流星を見たときの透子の父母の会話でわかるかと思います。
①~③より、それぞれが過去の欠片を集め、見ることが出来るということがわかります。
この作品で描かれているのは他者の物語ですよね(当たり前ですが)。
では、「貴方」の物語を見ていきましょう。
ここが騙し絵になっていると書いた部分です。
貴方の歩んできた人生に過去の欠片はありますか。
もし無いとしても、今、そして未来に欠片は転がっているかもしれません。
登場人物が止め絵として捕らえられたように貴方にも捕らえる事が出来るのです。
もう一度、貴方自身を貴方の周りを注意深く探してみてください。
もしかしたら何かが転がっているかもしれません。
何かを見つけることが出来たとしたら、それを丁寧に集めておくのです。
たくさん集まれば貴方の物語となるのではないでしょうか。
この作品は貴方の周りに落ちている唯の石ころのようなものです。
私には石ころの皮を被った美しい宝石に見えました。
これを美しいと思うか否かは人それぞれでしょう。
私には、この作品が以下のようなメッセージに見えました。
忙しく、なんとなく過ぎて行く日々をほんの少し注意して過ごしてみませんか?
そうすれば、路傍の石が美しいトンボ玉に化ける様に、貴方の人生はもっと色づき、もっと豊かなものになるのではないでしょうか?
ちなみに、気にされている方が多い「未来の欠片」についてですが、「過去の欠片」が透子の想像力をもって見せる映像(未来予想)であり、心象風景を映像化したり、駆との目に見えない引力を描く為のアイテムでしかないと考えています。
透子は感受性や想像力の豊かな子ですから、はっきりと映像が見えたのでしょう。
{/netabare}
お見苦しい文章で申し訳ございません。
以上、長文失礼しました。
{/netabare}