British さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
staffコメント抜粋
監督・原作…岡村天斎
この作品は高いところから全体の構成を見渡して全てが見える、という作りをしていません。そのため話の流れが少しわかりにくくなっています。
ダーカーにははっきりと正義の味方とわかる人物が登場しません。
そのような人物は自然には発生しない。だからこそアニメで描くべきという意見もあるが、そのような人物は結果として絶対に悪事の方に引っ張られると思う。何の抵抗もなく悪事に加担する人もいれば、悪事の中で葛藤する人物もいる。そのことを描けたらいいなと…
どう考えてもスパイ同士の戦いって、どちらかの側が一方的に正義だったり悪だったりはしない。大人の世界と一緒だと思うんですよ。
美術ボード…青井孝
ー最初に監督からどんなことを言われましたか?
ゲートの存在という違いはあるけれど、あまり深く考えず東京を舞台にしたいと。下町的な部分や、東京の街中や繁華街もあってそんなにSFな世界観でもないよと。日常的な世界観が出るといいなという感じでした。
ーボード作りで試行錯誤した部分は?
特に夜のシーンを一般的な暗いブルーではなく「緑にしたい」と監督の希望があったんです。
「ダーカーザンブラック」とあるように夜のシーンが多めとなっており、しかも緑を使って夜のシーンをまとめるといった独特さ故に何度もリテイクが出ました。
美術設定について
担当の岡田さん曰く、監督からはじめに「sfじゃないから頼む仕事はあまりないからね」と言われたのだが「そんなこと言わずやらせてくださいよ」といってくっついていったそうなw
主人公の暮らす海月荘をつくる
この作品にはSFに似合わずボロアパートのようなものがたくさん出てきます。海月荘はメイン設定の一つなので最初に作りました。実際に写真を撮りに行ったりもして、職質されたりして…ほんとに辛い思い出です(笑) 作業が始まったのが06年07月頃で毎週ボンズへ行き岡村さんと打ち合わせをしてました。ラフを持って行って、ああでもないこうでもないと。全然進まなかったですね。書いては直しの繰り返しで、最初の一点にOKが出るまでに二ヶ月もかかりました。 一番直しが多かった物は窓の大きさだったりします(笑)。
ヘルズゲート事始め
ゲートの中心が東京のどこにあるかは決まっていなくて、副都心をバックにゲートが見えると一番見映えがいいだろうなと、そんな感じで書いたんです。岡村監督とSF考証担当の鈴木さんが東京の地図を見ながら、ゲートの範囲は500Mが限界だなと、壁の上にクレーンが見えるのは建設中ではなく壊れたところの修理で、破壊工作を受けて修繕している。そんなイメージです。
脚本…菅正太郎
シリーズの最後って脚本家にとって伏線を回収する「答え合わせ」になるんです。 岡村監督が「小さくまとめるんじゃねぇ!」と言っているような気がしました。何か「1+1=2」じゃない、突き抜ける部分を求めてるんですね。思った通りにしかなっていない、突き抜けていないものは、監督は直感で多分分かるんですよ。その直感というのは監督の中の「ヘイ観」に照らし合わせて腑に落ちる、そこが根本じゃないかと思います。最終的に自分の中の印象としてはああやっぱり監督の手のひらの上にいたんだなと。そんな気がしますけどね。監督とやっていて一番思ったのが、プロの脚本家ならもっと面白いもの書けよ、というこだわりだと思いますね。
映像作品やバンドの音楽なども同様でしょうけど、監督も予定調和を乗り越える何かを求めていた。最初から決まっていることなんて何もないんだと。そういう認識からスタートする。そこからそれぞれが紡いでいく何かを、多分監督自身が一番楽しみにしてたんじゃないですかね。
ブックレットからの抜粋でしたが、私達がシーンの一部としか捉えていないヘイの家だったり、夜の色合いだったり、ゲートに関する設定の打ち合わせだったり、撮影していたら職質されたりと、一話の中に登場するキャラや建物、脚本をつくり上げるのにも時間がかかり、さらに一話を完成させるために何ヶ月もの時間がかかり、それを積み重ねていき初めてひとつの作品が完成する。
何かを創造する仕事というものはとてつもなく辛いことですが、とても美しく、かっこいいですよね。
最後に
ー岡村監督は、今後どんな作品を作りたいとかって、なにか構想はありますか?
岡村 次は、幼女が世界征服をねらう話とか、どうでしょうかね(笑)