「おいら宇宙の探鉱夫(OVA)」

総合得点
66.6
感想・評価
11
棚に入れた
42
ランキング
2812
★★★★☆ 3.7 (11)
物語
3.5
作画
4.1
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ビアンキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

スペースコナン

レンタルDVDで全話視聴。
1994年に発売されたOVA、全2話。


本作の感想を書いてみる。


本作の一番大きな魅力は、
近未来的・SF的な機械等や宇宙空間が丁寧に描かれ、リアリティを持っているということだろう。

特に宇宙空間における無重力特有の挙動には、徹底されたこだわりが見受けられる。

人間の動きはもちろんだが、
宇宙空間を浮遊する岩や、建造物の破片が
人為的に退けられたりした際のもったりとした挙動や
そのもったりとした挙動のまま他の物や壁にぶつかった際の
ズッシリと重みを感じさせる作画・描写は凄い。

その他、
無重力に飛び散った血液の表現なんかも含めて、
物体の挙動に関してはどれも
「実際本当にこう動くんだろうな」と思わせるだけの説得力があった。

正直、この良い点は言葉では説明しづらい。
ぜひ実際に見て確かめてほしい。



リアリティと言うと、

例えば第2話が始まって5分くらいに、
主人公の乗る小型の宇宙船(ビーグル)が壁にぶつかり、
宇宙船のガラス(もしかしたらガラスじゃないのかも知れないけど)にヒビが入るシーンがある。

この直後、主人公は2回大声をあげようとするのだが、主人公は2回とも大声をあげず小声で喋る。

このシーン、
作品中に明確な説明は無いが、宇宙船から酸素が漏れている。
よーく音を聞くと、「ソレ」の表現なのか「シュー」という音がしている
分かりづらいけど。


他にも、
第2話後半、主人公の顔半分が火傷し爛れている。

なんとなく見ていると「何故に火傷した?」と思ってしまうのだが、

この第2話の前半で、主人公はある事情で仕方なく、ヘルメットをかぶらずに宇宙空間に出ており
その際に顔半分に強い光を浴び火傷したということになっている。

このシーンも作品中に明確な説明は無い。
(医師が「日焼け」というシーンはあるが)

「説明がない」というのは悪い点と捉えてしまう方もいるかもしれないが
本作はテレビアニメではなく、
94年当時から購入したり、レンタルしたりしないと基本的に見れなかった「OVA」である。

こういった、なにげないリアリティを存分に描き、打ち出した作品は
マニア向けのOVA作品として十分すぎるほど価値があっただろう。

この作品に関しては、
上記のような説明無しのリアリティある描写は良い点だと私は思う。



上記にあげたような「リアリティ」とは
対極に近いものになるのだろうが、本作にはもうひとつ魅力がある。

それは主人公の「牛若」だ。

この主人公、年齢的にも、頭身的にも、(作画という意味で)動きをとっても
「未来少年コナン」のコナンそっくり。

この作品中では(多分)唯一の
生粋の宇宙生まれ、宇宙育ち。

そんなキャラが
宇宙服を着て、無重力の空間を
コナンのように大胆に生き生きと走って、飛び跳ねる。

明るく、子供らしい性格だが知恵があるあたりも似ているだろうか?

しかし本作のSF的リアリティを損なうほど
ファンタジーなキャラではない。

リアリティ重視一辺倒で地味にならないようにする
1つの工夫やスパイスとして、この主人公を入れることにより、
本作全体が明るすぎでもなく、地味過ぎもしない、
ちょうどいいバランスになっていると私は感じた。

良い主人公だった。



この作品の欠点

私や他の方の感想を見かけることなく
自分でこの作品のタイトルを検索し、
このレビュー一覧までたどり着いた方は、まず間違いなくご存知だろうが、

本作は元々全6話の構想で作られていた作品である。

しかし実際には2巻まで、2話分までしか発売されていない。
当時、あまり映像ソフトのセールスが芳しくなく
打ち切られてしまったらしい。

さっき「マニア向けとして価値はあった」と言ったが、
ここまでリアルなSFは
アニメ史上、あるいはごく一部のマニアたちの好みにおいて「価値」はあっても、
当時の多くのアニメファンたちにとって「需要」は無かったのだろう。

シナリオに関しても
決してキリのいいところではなく、
非常に続きが気になる所で終わっている。

「物語が途中で終わっている」というのは大きな欠点だろう。

作品自体は地味すぎず、かといって明るすぎないテイストで、リアルなSFを描いた傑作だ。

それゆえ打ち切りという事実は本当に、本当に惜しい…。
今現在でも、続きを作ってほしいというファンをときどき見かけるのも納得。



まとめ
さっきも書きましたが、地味すぎず、かといって明るすぎないテイストでリアルなSFを描いた傑作です。

SFが好きな方で、見ていない方がいれば是非見てください!
良いとこで打ち切られてしまったのが本当にもったいない作品ですが、
SFが好きな方であれば第2話までだけでも十分楽しめると思います。


それと最後に
主題歌の 「おいら宇宙の探鉱夫節」 に関して。

声優の立木文彦が歌っております
働く「探鉱夫」たちの哀愁と気合いを感じさせる良曲です。
本作を観賞する機会があれば、是非じっくり聞いてみてくださいね。


下手くそで纏まりのない文章、お読み頂きありがとうございます。

2016年8月3日
お気に入りに追加。

投稿 : 2016/08/03
閲覧 : 602
サンキュー:

10

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