ossan_2014 さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:途中で断念した
増殖する夢
少女マンガが原作、であるらしい。
いうまでもなく、少女マンガは少女の欲望に奉仕する表現として在る。
典型的な例が、王子様がほかならぬ私を選び、迎えに来る(時には白馬に乗って)、といったパターンだが、現代の少女の欲望は、こんな古典的なお約束では到底満足できないようだ。
なぜかは判らないが王子様は私を選んでくれる、など現代の少女は納得しない。
容姿が優れているから、でも不十分。
王子様は私の人格に魅かれてくれるのでなければならない。
王子様の愛するお人形になるのも嫌だ。
私は努力して夢を掴もうとする、自立した人間でなければ。
夢は、それによって、なにか社会的な承認を得られる類のものだ。
その夢によって得た特技で、私は社会に認められた居場所を持つ事が出来なければ満足できない。
そして王子様は、私を愛するゆえに、夢を承認して応援してくれなければ。
家庭に入ってくれという王子様では、私には不足だ。
昔の古典的な少女マンガに比べると、現代の少女の欲望はずいぶんとインフレーションが激しいようだ。
これらの「夢」を投影されたヒロインが作品世界にかける荷重は相当なもので、「世界」の政治体制、産業構造、社会制度、生産技術レベルは、増大する欲望の重量を受け止めきれずに、整合性をとることが全く不可能なほど歪んでしまうことになる。
少女の欲望の前には「世界」の不条理など視野には入らないのかもしれないが、欲望を共有できない視聴者には、ついていくのは無理があるようだ。