「それでも町は廻っている(TVアニメ動画)」

総合得点
77.2
感想・評価
1364
棚に入れた
7130
ランキング
641
★★★★☆ 3.8 (1364)
物語
3.8
作画
3.6
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
4.0

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ネタバレ

OZ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

人情味溢れる変化球気味な日常系アニメ

原作の漫画がとても好きな作品なので
期待と不安の半々で観てみる事にした2010秋アニメ

■人情味溢れる変化球気味な日常系アニメ■
近くに海がない下町なのに「シーサイド」と名乗る喫茶店で働く
メイド服を着たちょっとアホで天然な主人公
嵐山 歩鳥【あ】らしやま【ほ】とりを中心に
友人や家族 商店街の人達と織り成す
人情味溢れた日常系コメディの本作品。

原作の漫画と同じく1話完結型で
どこから観ても作品に入っていけるのが強みだ。

物語性が薄い為これと言って特筆すべきストーリーではないが
独特な空気感と何気なく交わされるウィットに富んだ会話が魅力。

笑えるエピソードからホロリとさせられるエピソードまでと
バラエティー豊かな構成である。

だが"バラエティー豊か"なのには少々訳がある。
それは序盤と終盤で作風が異なってくる点だ。

序盤は日常系らしく
身の周りの些細な出来事の中で話を展開させていくのだが
終盤に差し掛かると宇宙人が登場したり死後の世界を題材にしたりと
SFやオカルト要素を含んだ非日常の世界観が不意に挟まれるので
何でもありな展開は本作品らしいと言えばらしいのだけれど
原作未読者には軸のブレた一貫性の無い作品に映る事だろう。

一方で高評価に挙げたいのは
「雨は夜更け過ぎに 雪へと変わるだろう♪」のフレーズで有名な
「クリスマス・イブ」を歌う山下 達郎さんを中心に結成されていた
かつてのバンドSUGAR BABEの楽曲「DOWN TOWN」を
坂本 真綾さんがカバーしたOPである。

原曲とは異なる曲調になっているが
オシャレ感漂うリズミカルな一曲に仕上がっており
溢したコーヒーやメニュー表等に
スタッフクレジットを載せる演出が秀逸で
飛ばす事が出来なかったお気に入りのOPだ。

変化球気味な日常系ではあるものの
人情味溢れるユニークな日常が
本作品には詰まっているのである。

■評価を分ける2つの点■
まず原作を読んでいる側からすると
主に評価を分けるであろう点は2つ。

一つ目は主人公の歩鳥役を演じた
小見川 千明さんの声だ。

間の抜けた何とも言えない声は
原作ファンの間でも賛否がハッキリ分かれ
ダメな人は本当にダメだろう。

しかし 好みにハマれたのならば
この上ない見事なキャスティングである。

二つ目は場面転換の際に度々挿入される
見た目がタヌキそっくりな飼い犬のジョセフィーヌによる
「パスタじゃなくてスパゲッティポコ」や
「50円玉が2枚入っていると気持ち悪いポコ」等
本編とは全く関係の無いシュールな一言ネタだ。

クスっとした笑いを提供してくれるのだが
1話に1~2度ではなく数回程放り込んでくる為
全体を通して観ると少々クドくなりがちで
テンポが乱れてしまうのは否めない。

不覚にもクスっとしてしまった一言は
「タラバガニは蟹じゃないポコ」だ。

てっきり蟹だと思っていたのだけれど
調べてみたらタラバガニは生物学上ヤドカリの仲間らしく
意外にも驚かされたものである。

若干話が逸れてしまったが
以上の2点を好意的に受け止められるかで
大きく評価が変わってくるだろう。

■あとがき■
アニメ→原作はわりと抵抗なく作品に入っていき易いですが
原作→アニメの順で作品に触れると
キャラクターデザインであったり声であったり
どこかしら違和感を抱く事が多い中
全く気にならず全12話を楽しめてお気に入りとなりました。

またアニメオリジナル要素が組み込まれていたのも
大いに評価したいポイントでしたね。

コインランドリー先で雨宿りをする
第8話「全自動楽団」のアニメオリジナル回も勿論面白かったけれど
何より最終回で歩鳥が一時的に亡くなった後
追加されたシーンが見物でした。

原作で悲しむ様子が描かれていたのは歩鳥の父だけでしたが
アニメでは紺先輩やタッツン 真田に商店街の面々等が描かれ
歩鳥が如何に愛されているのかが知れたのは嬉しいところです。

中でもモリアーキーこと歩鳥の担任 森秋先生が
涙を流す場面は観ているこちらも思わずグッときてしまいましたね。

本作品のタイトル『それでも町は廻っている』の
まわると言う字を「回る」や「周る」ではなく
敢えて「廻る」にした事で
"町そのものが生きている"と言う
実に見事なネーミングセンスでした。

是非とも2期を期待したい作品ですが
放送終了後からかなり期間が空いてしまった事と
紺先輩を演じた矢澤 りえかさんが声優を引退なされてしまったので
おそらく続きをアニメで観るのは
叶わないであろう事が非常に残念ですね。

原作の漫画は現在も連載中なので
アニメが楽しめた方には
漫画の方もオススメしたい作品です。

満足度 ★★★★★★★★☆☆ (8)

投稿 : 2015/08/20
閲覧 : 479
サンキュー:

49

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