どらむろ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
軍人少女の日常系、と見せて、崩壊後の世界で平和を願うお話。名作と評すには惜しいが魅力十分
「けいおん」っぽいキャラデザの美少女たちが軍人として辺境の砦に駐留、仲良く暮らしたり街の人々と交流していく、日常系っぽいアニメ。
「風の谷のナウシカ」めいた崩壊後の世界観で繰り広げられるSFでもあり、戦争の愚かさと平和への願いがテーマでしょうか。
…放送当時「けいおん!」との比較からアンチが湧き、不当に貶められた感ありますが、独特の魅力がある意欲作です。
惜しむらくは全12話では持ち味を十全に発揮出来なかった事か。
それでも可愛い少女たちの日常系+しっかり構築された世界観は中々。
視聴して損は無い、良作だと思っております。1クールと手頃ですし♪
{netabare}『物語』
陸軍の少女兵たちの物語ですが、過度な軍国主義要素は無いです。
むしろ逆に、本作は反戦アニメでしょう。
上官でもあえて名前で呼び合う決まりだったり、町の人々とのアットホームな交流、不穏さを増していく戦争の悲惨さが間接的に影を落としつつ、少女たちの日常系を描いていく…。
トランペットを吹くために軍に志願した少女カナタが配属された辺境の砦を舞台に、戦時中とは思えぬ楽しくユル~い日常系展開しつつ、各々が戦争故に背負っている辛い過去も織りまぜてキャラクタードラマが深まり…
最終的に{netabare}不毛な戦争を止めよう!で{/netabare}めでたしめでたし♪
世界観や舞台背景は、遥か昔の大戦争で一度人類の文明が滅んだ後の世界、「風の谷のナウシカ」っぽいです。
王蟲とか腐海とかは無いのでそこまで深刻さは無いですが、人類は衰退しました。
ガンダムに例えると「ターンAの世界観でポケットの中の戦争みたいな話。」
(atsushiさんのレビューから引用。絶妙な例えだと思った)
私たちの言語である日本語が「イデア文字」という古代語扱いだったり(ブレイクブレイドみたい)、キリスト教っぽい教会なのに「八百万(やおろず)の神々のご加護がありますように」と祈ったり、スペインっぽい街やお祭りなどの風俗が色々と混じっていたり…諸々の要素が、崩壊後遥かな年月が流れた世界なんだなー、と印象的です。
日本の普通の学校…の廃墟を見て、カナタが古代人への想いを馳せるシーンが印象的。
本作の持ち味は、この独特の世界観構成でしょう。
私たちが良く知る現代世界が、彼女たちにとっては遥か古代。
音楽を通じて古代に想いを馳せ…最後には未来への希望をつなぐ。
良いお話だと思うです。
「テクノロジーそのものが悪ではなく、人間の平和への想いが大事」
古代の兵器「タケミカヅチ」も美しい音楽奏でてくれたり、ノエルと職人の親方が古代技術復元に情熱燃やしたり、技術そのものは悪ではない、というメッセージを感じました。
…序盤は日常系過ぎて些か退屈かも?
これはこれで楽しそうだし可愛いので好きなんですけどね。
キャラクタードラマも丁寧で良いです。
リオ先輩からカナタへのメッセージや、クレハとクラウスさんの話など、中々心打たれる良エピソード多し。
おっとり系お姉さんと思われたフェリシア隊長の辛い戦争の記憶から、「どうせ滅びゆくのに何故生きる?」というテーマに答えを出していく流れも素晴らしい。
これらのエピソードが、最終的にしっかりと希望に結実していく流れは良かったです。
…終盤ラスト2話で一気呵成にクライマックスに突き進むのが些か唐突感あるのも難かも。
一応、ちゃんと伏線やドラマは張られてはいるのですが…
それでも、ラストのカタルシスは見事でした!
総じて基本的に良作だとは思うのですが、せっかく意欲的に世界観を構築した割には、やや勿体ない感も。
キャラ同士は十分に日常系的な意味で交流はあるのですが、年長組(リオ&フェリシア)と年少組(カナタ&クレハ)にやや立場故の交流の壁があった印象も。
ノエルも、戦争狂軍人やアーイシャとの絡みがやや唐突な感あるので、もう少し余裕が欲しかった。
物語も世界観も大好きです。
名作…と評するには色々と惜しい部分もありますが、捨て難い魅力がありました。
TV未放送の13話含めればもう少し評価上がりますし、もう少し尺があれば良かったのかも?
(2014年度の「翠星のガルガンティア」と似ている惜しさ)
4.5点か、かなり迷いました。非常に私好みのアニメです。
『作画』
キャラデザがけいおん!っぽい。
可愛さは十分以上ですが、けいおんと比較すると若干及ばないかも。
でも十分萌えますよ!
本作特有の世界観、街や崩壊世界の描写はかなり良し、本作の見所でしょう。
『声優』
カナタはイカ娘と並び、金元寿子さん初期のヒロインです。
イカ娘の陰に隠れてて地味ですが…正統派な可愛さはむしろこちら♪
金元ボイス、やっぱり非凡な可愛さありますねぇ。
小林ゆうさんのクーデレ、遠藤綾さんのおっとり系、喜多村英梨さんのツンデレ、悠木碧さんの寡黙系ボクっ娘、いずれも良い。
福圓美里さんの清楚なシスターも良いですな♪
八十川真由野さんの気風の良いおばさん、石塚運昇さんの渋いオジサンもバッチリ。
ベテラン、内田直哉さんの狂人めいた悪党っぷりは流石。
『音楽』
OP「光の旋律」がとても印象的な名主題歌、こっちの方がEDっぽい。
ED「Girls, Be Ambitious.」は打って変わり元気で希望を感じさせる、こっちのがOPっぽい。
また、トランペットの演奏が物語に効果的に活かされており、音楽面での魅力が高いです。
『キャラ』
カナタちゃんが天真爛漫で純真無垢な可愛さあり。
純真過ぎてやや蚊帳の外な局面もありましたが、カナタの成長がこの物語に希望をもたらしていた。
クレハちゃんはツンデレ…と見せて、辛い過去から健気に頑張る良い子でした。
ノエルちゃんは親方との技術者魂と、終盤のメインヒロイン。
終盤以外にやや印象薄いので、もっと交流してほしかったところ。
リオ先輩は意外と抜けているクーデレお姉さん、カナタにとって良き先輩にして、自身も悩み多きヒロイン。
終盤まさかの切り札だったとは…!
フェリシアさんは一番重い戦争のトラウマ抱えつつ、小隊のお姉さんとして頑張った。
5人とも一通りの個性と持ち味あり、日常系萌えでも交流でも十分盛り上がりました。
…抜きん出て魅力を感じる程では無いのですが、十分でしょう。
清楚なシスター、ユミナさんが心優しく一番可愛い♪
ナオミさん初め街の人々が中々魅力的なのも良い。
クラウスさんみたいなオッサンがカッコ悪くても意地を見せるのは好感持てます。
敵の少女兵士アーイシャちゃん、もっと前から出番あれば…
戦争狂野郎は良い感じに邪悪でしたねぇ♪{/netabare}