STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
もう付き合った方がいいんじゃないの?
原作は未読。
記憶喪失ものは一時、ドラマなどでよくモチーフとして使われており、この設定自体は
斬新さはないが、既存作品はサスペンスものやもっと重たいドラマに使われていた感が強く、
この手の日常的なドラマで扱うとどうなるのだろう?という興味があったが、充分面白いものに
仕上がったみたい。
サスペンスではないが、藤宮 香織の記憶喪失に至る謎などはちょっとしたミステリー
要素として、エンターテイメント性に一役買っているみたい。
実際のところ、この作品のように友達という特定情報だけを、それも一週間単位で
忘れるようなことが本当にあるのかどうかは判らないけど、まあ話が面白くなるならいいや。
基本的には長谷 祐樹と藤宮の交流を描いたもので、藤宮の記憶には残らないものの、
日記という形で思い出を積み上げていき、やがて藤宮の記憶にも少しずつ残っていくという
過程が微笑ましく、心温まる感じ。
ただ、終盤まではストーリー的に大きな変化も無く、平坦と言えば平坦で、見方によっては
記憶喪失の治療記録とも言えなくもない。
主人公の長谷に関しては積極的に藤宮と友達になろうとするが、友達と言いながらもやはり
根底にあるのは恋愛感情だよねえ。
この長谷の行動は、序盤は自分本位といった印象が強く、後半は逆に藤宮を思っての行動が
目立つが、これが随所で空回りしており、なんか視聴者に嫌われてしまいそうな感じ。
ただ、行動自体はまずくても藤宮を思う気持ちはよく伝わるし、十代の未成熟な感情がよく
描かれていたように思える。
一方の藤宮だが、とにかくいい娘という印象だが、いい娘ゆえに精神的にダメージを
受けやすく、こうなってしまったのかなという感が。
藤宮も序盤はともかく、中盤以降は長谷に対して特別な感情を抱いているようだが、この娘は
男女間という部分に関しては精神年齢が低そうで、恋愛感情というものが判らないみたい。
実際、長谷への態度を見ているとあまりにも無防備と言うか、あれじゃあ相手が恋愛感情を
抱いてなかったとしても、誤解してしまいそう。
どうでもいいが夏でも一人だけベスト着てたけど暑くないのかな。
この二人と友人グループとなる桐生 将吾と山岸 沙希もバイプレイヤーとしていい味を
出しており、冷たくもストレートな桐生や何も考えずに無邪気に飛び込んでいく山岸の態度は、
長谷ではどうにもできない状況に対して、突破口を開く役割を果たしていたように思える。
この二人同士の関係性も今後が気になる感じ。
終盤、九条 一の登場によって、それまで積み重ねたものが壊れてしまい、更に長谷が藤宮に
距離を置くようになったのは悲しい流れではあったが、結果としては長谷と藤宮が互いをどう
思うのか改めて考えるいい機会になったみたい。
最初は壁を作っていた藤宮が次第に長谷をきっかけに回りを受け入れるようになったが、
あくまで受身というスタンスで、最終的に自分から踏み込むようになったのはまた一歩
進んだんじゃないかと。
絵のタッチが柔らかめで、色合いは淡い感じ、加えて光と影を意識した作画で割と好み。