STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.5
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ヘイト感のないゲスキャラ?
原作は未読。
かなりギャグ色の強い作品で、「これでも少女漫画」みたいな意外性を謳っていたようだが、
個人的には少女漫画のギャグものは返って振り切ったぶっ飛んだ作品が多い印象が強く、むしろ
少女漫画らしいなと思ってしまった。
ギャグものと言いながらもOPやエアガンを取り出す時のバンクシーンなどが無駄にカッコ
良く、まるで正統派アクションもののよう。それが返って面白かったする。
メインモチーフがサバイバルゲームだが、競技としてのサバイバルゲームの描写はほとんど
なく、映像としては部員達の妄想としての銃撃戦がほとんど。
そういう意味では、「死なない銃撃戦」としてのモチーフ使用がメインのようで、既存ガン
アクション作品のパロディが多い本作品ではこれが有効に機能している印象が強い。
作品の魅力としてはやはりキャラの魅力によるところが多く、特に主人公の園川 モモカの
ゲスっぷりがひどく、笑いに大きく貢献。
最近、ネットなどではこういったゲスキャラはギャグものでも非難される傾向に
あるみたいだが、彼女の場合は因果応報と言うか、最終的にはひどい目に会うオチが多く、
その辺でそれが軽減されているみたい。
他の部員もそれぞれよくキャラが立っており、加えてカモのような謎の存在もいいスパイスに
なっている。
部員キャラ以外も魅力的なキャラが多かったが、印象深いのはやはりからあげ☆レモン。
そして、この作品の魅力の一つが、なんと言っても玄田 哲章氏のナレーションで、単なる
笑いだけでなく、視聴者がツッコミそうなところを先に言ってしまうことで、作り手側が判って
やっていることを明言しているし、逆に最近の視聴者の傾向をツッコむことまでやってのける。
アーノルド・シュワルツェネッガーの吹き替えをやっている玄田氏ゆえに
シュワルツェネッガー作品のセリフのパロディが随所に入れてくれるのも楽しい。
他にもパロディが多いが、最近のアニメ作品のパロディは元ネタがアニメや漫画などの同じ
フィールドの作品であるのに対して、本作品は映画やテレビドラマが元ネタであるのことが
多く、更に小ネタとしての使用だけではなく、ストーリーの土台になっているのが印象的。
加えて特定作品ではなく、アクション映画によくある展開をなぞったような汎用的な
パロディも多い。これは王道展開のパロディとも言えそうだが、逆に言えばこの作品自体も
一種の王道作品なのかなと。
太田 雅彦監督作品はギャグものでありながら、ハートフルな要素を入れるのがうまい印象が
ある。
本作品もいい話的展開になるようなこともあるが、最終的にはモモカのゲス行為によって
台無しになってしまい、この辺はギャグ作品に振り切ることにしたこの作品の意地のように
見える。加えて作品自体の照れ隠しのようにも見えたり。
太田 雅彦監督と言えば、1話でモモカがいじめられた際のぶちまけられた鞄の中身の
グッズに、同じ太田作品の「ゆるゆり」、「琴浦さん」で使用されたキャラがいたりと、
こういうさりげない遊びは楽しい。