DOMANI さんの感想・評価
3.2
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
自己の内面を徹底的に追求するアニメ
原作は未読。
本作の舞台は非常に閉鎖的。舞台となるグリの街は高い壁に囲まれて、灰羽以外の人間達も壁の外に出ることは許されない。唯一、壁の外から来る交易団との会話も許されず、それは特定の者との手話に限られる。また、街の図書館にも壁の外の世界に関する書物はない。とはいえ、街の人に悲壮感はなく、慎ましくも幸せに暮らしているようだ。
灰羽の存在自体は謎で、羽と頭の光輪以外は人間と同じ、ある程度成長した姿で繭から生まれること、過去らしきものを断片的に夢という形で覚えているものの基本的には記憶を失っているということ、そしてその過去は人間であったらしいというものだ。
物語はそういう自己が曖昧な灰羽が自分の内面を見つめていくという体裁になっているので、必然的に内面描写が多くなっており、現実のグリの街の閉鎖性もあって、それがますます際立っている。
以上のことから、閉じ込められた環境が嫌いという人には、おそらく向かないアニメであろうと思う。哲学とか宗教的なものが好きな人には向いているかもしれない。