STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
性能差を補う戦術の面白さはあるが
分割2クール作品で、後半は既に視聴済みだが、未視聴の体で書いてます。
ロボットバトルものとしてはスーパーロボット(ヴァース帝国)対リアルロボット(地球)という
コンセプトのようで、性能的に劣るリアルロボットがいかにしてスーパーロボットに対抗して
いくかという戦術が面白い。
ヴァース側のカタフラクトの能力は過去のスーパーロボットアニメにあったものが多く、その
元ネタを考えるのもなかなか楽しい。もっとも最後のザーツバルムのディオスクリアは
ラーメンの全部乗せみたいで笑ってしまったが。
序盤は圧倒的な戦力差による絶望感やトリルランのニロケラスとの戦いなど、見応え充分で
あったが、個人的にはこのニロケラスとの戦いがピークといった印象で、以後のカタフラクトは
設定的にはニロケラスに劣るものではないのだろうが、ヴァースのカタフラクトの無双感、
その対抗戦術など落ちる印象。
この序盤は虚淵 玄氏の脚本で、個人的には虚淵氏を特別視したことはないが、この作品に
関しては虚淵氏以後はいまいち感があったのは否めない。
ストーリー的には界塚 伊奈帆、スレイン・トロイヤード、アセイラム・ヴァース・
アリューシアの三人を中心に描かれており、それ自体は悪くないがそこに絞りすぎたか、本来
ヴァース対地球というスケールの大きな話なのに、やけにチマチマした印象。
このスケール感に合わせてか、重厚な作風に仕上げようとしているが、重厚なドラマに
するには設定や世界観などをもっと練った方が良かったのでは?と感じてしまった。
前述の三人の物語という部分では誤解と理解不足からくる伊奈帆とスレインのすれ違いは
なかなかやきもきさせてくれる。
もっとも伊奈帆とスレインのそれぞれのアセイラムに対する感情を考えると、そういった障害が
なかったとしても協調は難しそう。
あと伊奈帆が感情を表に出さないタイプで、スレインは感情こそ爆発させるものの複雑な
状況に身を置いているため、いずれもバトルものおけるストレートな熱さを感じさせてくれる
主人公ではないみたい。
伊奈帆、スレイン、アセイラムを中心としたため、他の脇役は割りを食った印象で、
鞠戸 孝一郎のトラウマと、そこから派生するダルザナ・マグバレッジとの関係性、
ライエ・アリアーシュの複雑な状況とそこから派生する感情、伊奈帆に好意を抱いているゆえに
アセイラム登場に複雑な感情を持つ網文 韻子などは材料だけ用意して、調理はしないままと
いう印象。
この辺は後編でうまく拾ってくれるといいのだけど。
ロボットバトルという点では伊奈帆上げといった印象で、主人公を上げること自体は
いいのだが、ヴァース側にしろ、地球側にしろ、伊奈帆以外はたいしたことないみたいな印象に
映ってしまった。
敵も相当なものだが、伊奈帆は更にその上を行くぐらいの厚みを見せてほしかったかな。
最後は伊奈帆、アセイラムの主要キャストがいきなり殺されてしまう展開。
実際に死んだかどうかは不明だが、「こういうことをやっておけばインパクトがあるだろう」
みたいなあざとさを感じた。
メカの、特に地球側のカタフラクトのデザインは割と好み。
一方キャラクターデザインだが、志村 貴子氏の可愛いタッチはこの作風には場違いな印象が
あったが、慣れてくるとこれはこれでミスマッチ感覚が逆に新鮮な感があった。