「のんのんびより(TVアニメ動画)」

総合得点
90.1
感想・評価
3400
棚に入れた
15507
ランキング
65
★★★★★ 4.1 (3400)
物語
4.0
作画
4.1
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.3

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westkage。 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

一流の風格が感じられる日常アニメの決定版。労力の全てを作画や構成に費やす事で作品の質を高めている。ディティールへのこだわりに制作者の愛情を感じる☆

本作は「あっと」の漫画を原作とした作品です。月刊コミックアライブで連載中の作品で、テレビアニメ1期にあたります。2013年10月から12月にかけて、全12話で放映されました。

全校生徒が5人しかいないほど寂れた田舎町が本作の舞台。なんと5人のうち3人は中学生。あまりに子供の人数が少ないのでクラスは小学校・中学校をまとめて1人の先生が受け持っているのだ。そんな5人の日常生活を描いた作品です。

総評として「一流の風格が感じられる日常アニメの決定版。労力の全てを作画や構成に費やす事で作品の質を高めている。ディティールへのこだわりに制作者の愛情を感じる」と言った感じです。

ご存知の方も多いかと思いますが、私は日常アニメが苦手です。こういうアニメに何を求めるかというと‘癒し’なのでしょうが、私は緑豊かな自然や田園風景を見てもちっとも癒されません。憧れもしないのです。なぜそう感じてしまうのだろうな~って自分でも不思議ですけど、考えられる理由としては「父の故郷が本作の田舎を遥かに上回る田舎」なので、こういう自然な風景や田舎町には慣れっこな所があるのかもしれません。そして田舎なんてさして良いものでもない、と言う事を感じているのでしょう。父の実家はクーラーもありませんでしたので夏は暑かったし、夜になると虫が一杯出ます。昼は何にもする事がありませんのでヒマで仕方が無かった記憶があります。子供同士でゲームをしていたり、本を読んだり…結局のところ、都会だろうが田舎だろうが帰省した子供たちがやっている事は同じですしね。
都会の喧騒に疲れた大人が~とよく聞きはしますが、そもそも私の住む三重は田舎ですしねw そういった環境が左右しているのかもしれません。同じく三重に住む私の友達は日常系大好きですけどw…まぁそこはやっぱり個性なのかな~。

さて話は脱線してしまいましたが、そんな私から見ても本作は楽しんで視聴する事が出来ました。
正確に申し上げますと、中盤くらいまではスムーズに…後半はほんの少しダレてきました。やはりそこは日常系が好きかどうかの分かれ目なのかもしれませんね。それでも12話完走出来た事実は大きいと思います。

それでは良かった部分として考察していきたいと思います。

1・‘日常’に特化している所。
表現する場所がアニメや漫画である以上、視聴者や読者の反応は絶対気になる部分だと思います。利益を上げるのは勿論のこと、連載漫画であれば自分の漫画が今後も誌面を飾れるかどうかの瀬戸際な訳ですからね。視聴者や読者に飽きられないように、ありきたりな話になって眼をそむけられないように、そういったプレッシャーから、どうしても派手なギャグや設定を盛り込んでしまうのが普通ではないでしょうか。本作はそういった不純物を一切取り除いた‘純度100%・無添加・無農薬’の日常作品と言えるでしょう。そしてそれこそが「本物の風格」を出している本作の魅力だと感じられるのです。

2・贅沢に使われた余白
最近はマンガやラノベを原作とする作品がほとんどを占めていると思います。確かに原作がある作品は、制作もスムーズに進行するかもしれません。しかしそういった作品に必ず立ちはだかる難問が「1クール全12話でどうやって話をまとめるのか」という構成の問題だと思います。もちろん原作者は「アニメ化を前提とした構成」で作品を描いていない訳ですから無理に12話でまとめると言うのは至難の業だと思います。その結果、物語の省略が多くなりすぎて…
・進行が速すぎてキャラクターや物語に感情移入がしづらい
・改変が多すぎて原作ファンの期待を裏切ってしまう
という問題を抱えた作品が世の中に蔓延しているように感じます。
今作は日常アニメの「急ぎ過ぎない展開」という強みを十分に理解して制作されています。
物語が一話完結になっている所も手伝っていると思いますが、構成に余裕が感じられます。時にはキャラクターが無言の場面や風景のみのカットも多く差し込まれていて、それが平穏とした日常を表現していたりキャラクターの心情を現していたり、そういう構成上の「余白の美」とでも申しましょうか。上手く表現しているなと感じさせられました。
特に第4話の後半でれんげちゃんがゆっくりとトラックアップするシーンは秀逸だったと思います。

3、魅力的なキャラクター
特筆すべき事柄の無い、何も起こらない日々の積み重ねが日常である以上、その作品を彩るのはキャラクターであると言えます。今作のキャラクターはどこにでもいそうでいない、それでいて作品の雰囲気を壊さないような日常を表現するにふさわしい人物ばかりです。語尾に「のん・なん」をつけるれんげちゃんのインパクトは勿論ですが、個人的には越谷 小鞠(こしがや こまり)ちゃんを推したいですね。中学校2年生のお姉さんキャラクターであるにも関わらず、身長は140cm未満で精神年齢が幼いという弄り甲斐満点のキャラです。そのためか結構物語の中心に居る事が多く、私としては「こまこまびより」でも良かったんじゃないかって思いますねw
その他にも不自然にならない程度の‘あくが強いキャラ’が多数登場しますが、その点は本作の大きな魅力になっていると感じる事が出来ました。

日常系が好きな方は勿論の事、日常系が苦手だと言う方にも安心しておススメ出来る作品です。
忙しい・派手な展開の作品ばかり見慣れてしまうなかで、こういった作品の存在は重要なのかもしれません。視聴する貴方を‘ロハス’的思考に導いてくれる、心の栄養剤になりえる作品と言えるでしょう。

投稿 : 2015/08/15
閲覧 : 512
サンキュー:

61

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