明日は我が身 さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
たしかにテンポも演出もキャラも素晴らしいし思わず泣いたけど…
冷静に考えたらなんかとっ散らかった印象があるな~~と思ってしばらく考えてみた…
九太のゴールは前半では『ひとりで生きていく力をつける』ことだと思わせるかかれ方をされていて、誰にも頼らず生きてきた熊徹の弟子になることがそのゴールの克服のキーになっていくんだろうな~~って思わせる展開だった。
『ひとりで生きていく力』っていう漠然と抽象的なゴールだから熊徹との戦いの修行や日々すべてがそのゴールに直結するんだろうな~と…
でも後半に突然『高卒認定試験』やら『大学』なんて単語が出てきて、ゴールが『人間の普通の生活内での自立』に変わっちゃうのである。
突然地に足のついたゴールになるせいで、そこへ向かう手段も勉強という地道なものに変わってしまい、もともと飲み込みの早い九太なら熊徹との日々がなくてもゴールへ向かうポテンシャルあるじゃないか・・・と感じてしまった。
つまり後半突然ゴールが変わったせいで熊徹との出会いや修行の日々そのものは“ゴールへ向かう手段”ではなくなってしまったわけ。
“出会いとそれによる成長物語”のはずが“出会い”だけになってしまっていた…
心の穴を埋めてくれたという大事な意味はあったが、それが原因となって試験や大学など地道なものを乗り越える力をつけれたという結論にもっていくには違和感が出来てしまっていた。
あと楓を出した意味がわからん。
九太の心の穴を埋める役は熊徹で十分だし、楓が出てきたせいで一郎彦やその弟などもっとしっかりバックグラウンドを描写すべき異世界側のキャラたちのための尺がなくなってしまった。
特に一郎彦の“人間の闇”がなんであそこまで物理的に強い攻撃ができるのかが曖昧。
せっかくの異世界設定なのに後半は異世界に存在感がなかった・・・
だから全体的に竜頭蛇尾な出来に感じたんだな…と。
ただ熊徹と九太のキャラクター自体は良かったから感情移入しやすくて泣けることには泣ける
それが完成度の高い作品かってのとは別の話。
個人的には『時をかける少女』には及ばなかった。
でもアニメーションは質が高いし、BGMや雰囲気、そしてキャラはいいのでエンタメとしては1800円の価値は大いにある。
見て良かった。