雷撃隊 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
正義の味方と日常生活(高校受験編)
今年はセーラームーンが元気、2015年現在3作品が放送されている。リメイク版のCRYSTALが地上波で放送され無印がなんとNHKBSで放送されSがCSで放送されている。いやー、贅沢な状況ですねー、というわけでSの感想。
セーラーチームは僕にとって共に青春を過ごした同期の桜のような存在だ。1期の自己紹介で「私、月野うさぎ、14歳、中二」とあるが実年齢が一緒なので。現実世界の僕が高校受験終了でほっと一息という時期に今度はTVの中のうさぎたちが高校受験の年に。キャラにやたらと親近感が湧いた。ちなみに劇中では2年生のエピソードが2年続いているのでこの時点で一つ学年がずれてしまったけど(笑)。
うさぎはよく「正義の味方と中学生の両立は疲れるわー」とぼやいているがこれは恐らく正義の味方全員の本音じゃなかろうか?憧れる人は沢山いるけど本人にとっては日常生活を引っ掻き回されて迷惑だろう。さらにオカルト的な事件を解決しているので周囲の人間に相談もできやしない。科学的な証拠が残る訳でもなし功績が称えられるでもなし、ヒーローとは縁の下の力持ちなのだろう。毎回東京タワーが破壊されるほどの死闘、お疲れ様です。「この忙しい時期に新しい敵ですってー!!、月に変わっておしおきよ(怒)」貴方のお怒りごもっとも。
Sになると仲間が増えて賑やかに。はるか、みちる、せつな、ほたるが参戦。
バトルでは新規参入組がメイン5人を完全に食ってしまっていた。ウラヌス、ネプチューンの新規BGMとバンク、今見てもカッコイイ。せつなさん、冥王星は降格されて惑星じゃなくなってしまったけど写真が撮れて株が上昇ですよ。セーラーサターンことほたる、折角デザインはカッコイイのにバンクショットが無いのが残念だったなー。この頃になると主役のセーラームーン本人は存在自体が最強兵器になってしまい強さのインフレ起しており危機感が薄れているのがやや残念。
序盤、はるか&みちるコンビが敵味方不明の勢力として登場。プルートことせつなにより敵の正体が語られて仲間入り。1話完結回の中にも伏線が張られていてストーリー性がある。当時は1年で浮き沈みが楽しめた。ギャグや日常メインの回も今の1クールアニメよりもよくできている。将来に悩む亜美ちゃんにまもちゃんが助言する回とかレイちゃんの家庭の事情の回とか面白い。一年あればレギュラー全員の人間を余裕を持って描ける。最近の1クールアニメはキャラの性格が分ってきたと思ったらお別れだからね。
今期はまもちゃんが年長者らしい一面を見せる。進路に悩むうさぎたち中学生の相談にのったり単独行動をとるはるかたちを諌めたり、年上の友人ぶりがカッコイイ。バイクにも乗るぞ。はるか、みちるも車を運転するのでずいぶんとシナリオ展開がスムーズになっている。高速道路を飛ばしながら石田耀子の「愛の戦士」が流れるシーンは名場面だ。ちなみにS以後でははるかが学校帰りに車で送ってくれたりするぞ。
終盤の一人絶望的な決戦に赴くセーラーサターンことほたるを助けるために団結してゆく新旧セーラーチーム、ズタボロに傷つきながらも勇ましくカッコイイ。全員生還させるために奮戦するセーラームーン、彼女はやはり気高く美しい。月野うさぎには理屈を超えて人を団結させるカリスマ性というか気高さがある。普段はドジっ子でもやる時はやる。仲間に守られてなんぼのプリンセスが陣頭に立ち逆にみんなを守ってしまう。だからこそ彼女には力を貸す仲間がたくさんいるのだろう。序盤は距離を置いていた新規参入組がうさぎを中心に団結してゆく過程はやはり一年描いているので効果的だ。まあ何はともあれ受験だというのにバトルに次ぐバトル、お疲れ様でした。
Sはやたらと作画の落差が目立ったのが残念。普段の1話完結回の作画レベルのバラつきは恐らく5シーズントップだろう。只野和子さんが抜けたのが痛かった。しかしストーリーが動く回は今でも通用する神作画に化けた。やはり当時では一年ハイレベルを維持するのはきつかったのか。次回作SSでは伊藤郁子さんが総作画監督となり作画が安定する。しかし結果として一年ごとにメインキャラの顔が変わることに・・・、この点は長く続いたことのマイナス面かも。
セーラームーンは1年限定のサブキャラの声優さんが豪華。今回は教授役に神谷明さんが登場、当時はびっくりした。マッドサイエンティストで楽しかったなー。敵キャラやサブキャラのベテラン勢、おそらく5年の成功の秘訣だろう。映画Sでは増山江威子さんが登場している。当時すでにアニオタだった僕には驚いたものだった。
セーラームーンは近年の「戦う女の子」のレールを敷いた作品だ。古くなるというより歴戦の勇者、ベテランとしての貫禄が備わってきている。あれ程まで男女双方に人気があった作品は珍しい。魔法少女x戦闘モノのリーダー格としてアニメ界を牽引し続けて欲しいものである。