るぅるぅ さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
原点回帰からの新境地
本作の持ち味は、純粋に面白い! と楽しめれる作品に仕上げっていることに尽きる。SF作品のなかでも、電脳・人類の未来像とキーワードがでるだけで深いテーマが感じられるかもしれないが、考証する作品ではないので観る者に何かしら印象付けるなら、それはアニメ本来のエンターテイメントを忘れさせない。まさに原点回帰のような作品の良さにあると感じる。
昨今のアニメ業界に限らず漫画でも溢れかえっている、考証の粗を突っ込む方が多い。私も粗などを探すのは好きだが、考え読み解き推察する思考型になっており、純粋に感じ育む気持ちが薄らぎつつあるのも現状。
テーマが重い作品ほどシリアス展開で叩かれる傾向になっているのは確かで、どこで楽しめるのかわからないから最後まで見ているような状態に近く不満が生まれ楽しむという概念が希薄になっているように伺える。
本作のストーリーも人類の新たな生存方法として電脳化という選択肢を選び、リアルボディを持つ喜び・悲しみを体現し人であることも捨てちゃもんじゃないよ。と、SF作品ならではのテーマに加え、旧き良き風習・理をキャラに植えつけていく世界観に凝縮されている。
ベタベタな展開のなかにをつけ、キャラは3DCGで描きクオリティの質をあげ、スピード感を壊さないバトル描写と同時にキャラ表情といった細かい視点まで配慮された仕上がりになっている。
本作の売りは3DCGで描かれた作画を用いることでアニメ作品の可能性を広げる手法として観て損はないと感じる。圧巻としか言い様がない出来栄えを味わって頂きたい。
また、キャラティストの案配もあるが、90年代の趣を残しつつ現代風にアレンジし萌と燃を合致させた設定により構図をわかりやすくキャラに親近感を持たせ溶け込みやすくしている。
主人公でありヒロインのアンジェラの容姿・コスチュームからして狙っていることも伝わる一方、内面的なギャップが魅力的な要素として図太く逞しくもあり心意気ある生きいきとした姿が好印象に映る。
ディンゴ。相棒という役割であるが、素行の悪さを見せつつ飄々とチャラそうでありながら気高く情深い男らしさが好感を持たせる。
フロンティアセッター
{netabare}人類の末裔といえば響きはいいが、悪く表現すると人類の亡霊。AIに自我が芽生え、最も人類の意思を育み人らしさがある反面、危険因子でしかない側面も描かれている。電脳・AI・人類という三者三様の見解として無くてはならない存在。{/netabare}
虚淵さんの脚本の匙加減が上手く反映され、それぞれの未来像を描くことで後味の良さに繋がっていた。
あえてテーマを提示するなら、本当の楽園は管理された人の中に生まれず、楽園とはどこにあるのか? その社会背景など深堀する考証をなす作品ではないが、初見の方には見やすく夢中になって魅せるハイスピードバトル・考える余地を与える余韻を堪能して頂ければ幸い。