ダレイオス さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
青春ドラマ
凡人である高校生の主人公の空太が猫を飼っているという理由で
本来いる寮を追い出され問題児が住むという、さくら荘に住む事になる設定で
さくら荘に住む事になったがために色々なトラブルに巻き込まれながら
ゲームクリエイタ-という自分の夢に向かって奮闘するストーリー
最初は問題児が住むさくら荘ということで
ヒロインのましろは自分の身の回りのことも何も出来ないので
着替えを空太に手伝わせたり信じられないぐらい依存性が高い。
ましろは天然でよくボケるので、そのシーンがコメディになっていて
空太がツッコミを入れるシーンの連続
美咲も序盤は勢いのあるコメディ、ギャグと
序盤のノリは独特でそれが合うかどうかです。
うーん、癖がかなりあるギャグなので
まあこの時点ではあまり人に勧められる感じではないですね。
そして何故かさくら荘の問題児達は凡人か天才かに分かれていて
序盤は天才達のその変人ぶりを見せられるのが続きますね。
まあ設定上変人なので設定倒れになってないのはいいですが
ましろは最初は何にも出来ないのでアニメと言えども拒絶反応を感じる
人もいるでしょうね。
そしてその対になる凡人が掘り下げられる展開で
天才に対しての凡人の気持ちが描かれるのだけど実に生々しい
天才と比べられて劣る劣等感は中々のもの
リタや空太は凡人(個人的には才能あるとは思いますが・・・
普通の高校生にまともなゲームの企画書作成は無理だと思うので)
ということで、天才のましろに辛く当たることもあり
個人的には、本当はそれはいけないこととわかりますが
実力ではかなわない凡人の気持ちは痛いほどわかるし
天才と比べられたり自分の実力のなさに落ち込む姿は実にリアリティーを感じる。
凡人が天才の成功を妬み、天才の失敗をしたことを本当は喜びたくないのに
実は心のどこかでそれを喜んでいたことに対して自分に嫌気がさしたり
凡人の心理描写はかなり良くて丁寧なんで、その気持ちはよくわかりました。
序盤はその凡人の挫折と癖のあるコメディ、ギャグが交互に来る感じですね。
挫折の後はシリアスはあるものの直ぐにコメディ、ギャグが来るので
さほど重くはならないのでシリアス過ぎないのは良いと思う。
コメディ、ギャグに関してもかなり割合であるので
そのうち慣れてはきましたね。慣れない人には無理でしょうが
個人的には中盤には慣れました。
何かに頑張るシーンを描写する作品というよりは凡人が挫折したり
悩んだり、落ち込んだりすることが多かったかな
天才設定のましろ、龍之介、美咲以外はそんなキャラばかりでした。
空太に関してはかなり、挫折とやる気を出すのを繰り返すでの人によっては
「またかよ・・・」と思えそうですが個人的には
落ち込んでも、くじけずにやる気を再び出してもやっぱり駄目で落ち込むと
理想と現実で揺れ動く若者の心の叫びは痛いほどわかるし
個人的にもそういうことはあるので共感は出来ました。
ましろに関しては世界的天才画家て言われても設定だけで描写的には
最初はどこが凄いのかなと感じる場面が多かったですが
段々わかるような描写が増えてきた感じです。
人の気持ちを考えることが苦手で自分の好きなことに集中して
打ち込む姿は天才とはこんなのではないだろうかと感じる部分が出てきました。
恋愛面でもましろは最初は空太のことは、気にとめてはいなかったけど
一緒に過ごしているうちに空太に段々心を許していく過程の描写はかなり良いし
その後、空太のために色々しようと考えたり
それが恋愛と気付けない性格も可愛くて良いと思います。
空太と七海が仲良くしていたら動揺したり
次第に女の子ぽくなっていったのは凄く良かったです。
七海は空太のことを好きなんだけど、モーレツにアタックするタイプというわけではなく
照れ屋さんで影ながら見守るタイプでしたね。
好きだってバレたらどうしようと考えたり、そういった仕草や表情は良かった。
さりげなくデートに誘う勇気も可愛げがありました。
最初は積極的ではなかったのに段々積極的になっても
その気持ちに中々気付いてもらえないのは流石アニメの主人公なんだろうけど
そのおかげでアニメ的な楽しみ方は出来ました。
あとこのアニメはハーレムではないので、恋愛面では色々なキャラが
結ばれましたね。
美咲は恋愛面はかなり掘り下げられていたので
メインヒロインと主人公でない組み合わせでは十分過ぎるくらいの
中身はありました。
リタはややチョロかった気はしますが
最初あれだけ相性が悪かったのに、お互いがぶつかり合って衝突して
自分の本音を言い合っているうち惹かれるのは気持ちはわかるので
このアニメカップリングの組み合わせは多いのですが
恋愛面の掘り下げはかなりしっかりしていたと思います。
ストーリー的には前半は凡人の悩みや挫折、後半は恋愛の色の強い内容でしたね。
七海はタイトルになっているヒロインに恋愛面で勝てるとは思えなかったのに
かなり恋愛面でプッシュされてたので、中々切ないものがありました。
叶わぬ恋なのにいい感じ、いいムード、いい雰囲気になるので
楽しめたけど、うーんでしたね。
言い方は悪いけど当て馬ヒロインらしかったです。
あと、挫折担当キャラなので、いいこともあんまりなかったかな
努力したけど駄目だったシーンはトラウマと悲しい気落ちになりました。
それでも一番掘り下げられたキャラなので個人的には一番好きなキャラでした。
後半は青春ドラマにもなり
最後の展開は学園ものによくある展開でした。
まさかこのアニメもこの展開で来るとは思いませんでした。
※重要なネタバレ注意
{netabare}さくら荘を取り壊すのを反対するのがストーリーのメインになるとは・・・
中々苦しい展開だったと思います。
取り壊すのを反対するのに他の生徒に納得してもらうのに説得力はあんまりなかったかな
一般寮に戻るだけなので、ただの甘えにしかみえないかな
生活苦の七海が入居するくらいだから普通の寮より家賃が安いみたいだし
男女で一緒に住んでいたりよく考えると甘いですよね。
なのでそれを賛成してくれる生徒なんて
あんまりいなんじゃないかな、アニメだからしょうがないかもしれないけど・・・
話の流れはご都合主義的に感じました。
それでも卒業式でのあの大げさな取り壊し抗議はアニメならでは演出も見られたので
面白かったです。理屈では正しくは無く学校側が正しいのはわかるのですが
高校生が必死になって何かを訴えて自分達のことを認めさせようとする姿は凄く良かった。{/netabare}
作画については色彩が綺麗で背景もきちんと描いて綺麗なことが多かったですが
2クールあるのでキャラの作画については1話から微妙に乱れている所がありました。
ただその分全体を通せば大きく作画は崩れる回はなく、2クール通せば
比較的安定はしていたとは思います。たまに乱れるてことですね。
もしかしたら1話が一番微妙な作画だったかもと思える感じです。
キャラのアップの絵は綺麗で動かさなければいけない場面ではよく動いていたので
演出面は良かったと思います。
卒業式の作画はかなり綺麗で安定してました。大事な回で作画に力を入れるのは好感が持てます。
キャラデザインも個人的には好みだったので作画的には満足ですね。
声優さんについては独特のノリの演技が気になりました。
上手いとは思いますがそれを受け入れることが出来るかどうかですね。
ただ後半はそういったノリの演技は少なくなりまじめな演技になるので
純粋に上手いなと思える場面は多かったです。
後半はかなりの演技力を感じました。
これは演技というよりは作風の問題でしょう。
内容的には序盤癖の強い独特のコメディや
挫折→やる気を出す→挫折の連続なので人を選ぶ作風のアニメだとは思いますが
駄目だったけど、くじけずに頑張る姿は
それも青春ドラマと考えれば楽しむことは出来ました。
恋愛面でも掘り下げてくれたので恋愛ものとしても良かったですね。
最後は都合がいいご都合主義的な感じはしましたが
高校生が自分達の事を必死に訴える姿は凄く良かった。
終わってみればいいアニメだったです。