無毒蠍 さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
母親との再会から始まるヒックの新たな英雄譚!前作よりもスケール感がアップし正統続編と言える作品でした。
前作ではバイキングの長の息子としては優しすぎるヒックと最強のドラゴンと称されるナイト・フューリー、
通称トゥースとの交流がメインで描かれ、
物語ラストではドラゴンライダーとしてトゥースと一緒に大空を駆け主人公に相応しい活躍で物語を締めくくりました。
その続編として公開されたのが「ヒックとドラゴン2」なのですが前作の出来が良かったので
発表当時から期待してる方も多かったと思います。
しかし残念ながら日本での公開はなかったんですよ…
楽しみにしていた方にとっては非常に残念なお知らせだったと思いますが
なんとかBD/DVD作品として発売する際に日本語吹き替えも収録されましたので
捨てる神あれば拾う神ありといった感じに日本のファンも救われたことでしょう。
さて肝心の内容のほうですが前作に負けず劣らずの面白さで個人的にはですが
前作を楽しめた方なら問題なく楽しめると思います。
しかし前作とはまったくもってコンセプトが違いますのでそこをどうとらえるかで評価も変わってくるかもしれません。
前作はドラゴン退治を生業にしているバイキングたちの価値観を
ヒックがトゥースとの交流を経て変えていくという物語でしたが
今作では前作でのヒックの活躍もありバイキングもドラゴン退治をしなくなっています。
それどころか一家に一匹といった感じにドラゴンと共存してたりするのです、
ここらへんは前作ラストで少し垣間見えてたシーンですね、
前作のラスト以上に人間とドラゴンの関係が良好になっていて前作を観てた僕からすると微笑ましかったです。
2は前作の5年後らしく続編としては結構思い切った年月経過をさせたなと思いました。
こういう続編って製作者が大きな変化を恐れて2年とか小刻みに経過させたりするものですが
逆に5年という歳月のおかげでキャラクターたちの目に見える成長を感じることができたので良かったです。
5年でドラゴンと争っていたバイキングはドラゴンと暮らし仲を深め、
ドラゴンレースなんて言う娯楽まで誕生していました。
ヒックがトゥースと一緒なのは当たり前ですが
個人的にはアスティたちが前作と同じドラゴンに乗っていたのが嬉しかった(笑)
2でパートナードラゴンが変わっていたら悲しいですもんね。
そんな感じでドラゴンと上手く付き合っているキャラクターたちを見ていると
「ヒックとドラゴン」というよりは「ヒックたちとドラゴン」なんじゃ?と思わなくもなかった。
ヒックは相変わらずトゥースとたわむれていて良い意味で変わってなかったですが
5年でたくましく変わっていたりもして、こういった成長を感じれるのも続編の魅力ですね。
ヒックは鎧に仮面など装備がグレードアップしてて特に剣がカッコいい!
切っ先は存在せず柄の部分だけなんだけど燃えやすいドラゴンの体液を仕込んであって摩擦によって引火し
フレイムソードみたいになります、
さらに逆側にはドラゴンのガスが仕込んであって摩擦で引火させることによって範囲爆発?みたいな感じに。
平和を愛するわりにはやる気満々な装備ですがカッコいいので良しとしましょう!
BGMも前作と同じ曲が使われており盛り上がります。
使い回しといったらマイナスイメージなことが多いですが「ヒックとドラゴン」という作品には
あの壮大かつ盛り上がるBGMが必要ですね、逆に違う曲になったら萎えちゃう。
今作ではヒックの母親が登場し彼女との再会や交流が物語の大部分なのです。
なので前作みたいに探り探り進んでいくような物語を期待していると肩すかしです。
前作である程度の形はできてしまったので今回はパッパパッパと進んでいきます。
前作を観てない人のための説明などもありません、
あくまで前作を観た人のための構成になっており無駄な要素は一切省いてあります。
20年前に死んだはずの母親が実はドラゴンと暮らしており
ヒックと同じようにドラゴンライダーでもあったという衝撃の事実。
ドラゴン歴20年って考えるとヒックと比べ物にならないくらいの上級ライダーかもしれません。
実際ヒックの知らないドラゴンの生態にも熟知しており、さすがヒックのお母さんといった感じです。
前作では巨大ドラゴンとの戦いがラストバトルとして描かれていました。
本作でもそれは同様なのですが一つ違うのが巨大ドラゴンを使役している人間がいるということです。
なので、あくまで敵は人間です、ここは前作とは大きく違いますね。
ヒックたちのようにドラゴンと仲良く暮らしている人種もいれば、
ドラゴのように己の私利私欲のために利用している人種もいる。
「ヒックとドラゴン」という世界観の大きさが窺い知れる物語だったと思います。
ヒックの目的の一つがトゥースで大空を駆け世界地図を完成させることにあるらしいので
きっとまだまだ色々な人間にドラゴンが存在したりするんでしょうね。
一つ気になったのはヒックの父親ストイックの死です。
確かに彼の死によって物語に深みと重さが増しました。
ストイックが死ぬ展開を否定するわけじゃありませんが
ストイックを死なせてしまったのがトゥースというのはいかがなものだろうか。
いくらボスドラゴンに操られていたとはいえ悲しすぎる展開だよね、
ドラゴンはいいやつ、お互い歩み寄ることで理解しあえると前作から一貫して言ってきたことを
捨て去ってしまうような展開にも感じました。
そこはトゥースだからこそマインドコントロールに打ち勝ってヒックとの絆をしめしてほしかったね。
実際、その後の展開ではヒックの声でマインドコントロールに打ち勝ったわけだし…
この展開を焦らさずに最初からやっておけば良かったんじゃないかな?と思わなくもないです。
ストイックが死ぬにしてもトゥースが殺すんじゃなくて、ストイックが死んで落ち込んでるヒックを
トゥースが励ましヒックが再び立ち上がる物語のほうがこの作品らしいと思う。
まぁそれを差し引いても面白いですし続編として成功してると思います。
そして何とすでに続編「ヒックとドラゴン3」の公開が2018年に決定してるとか!
これはすごい楽しみだなぁ、父親はいなくなったけど母親が戻ってきたし新しい展開に期待!
3ではヒックもすっかり大人だろうね、2でも20歳だし。
おそらく3の最後でアスティと結婚して完結かな?
3で駄作になるシリーズも多いので頑張ってほしいですね!
「ヒックとドラゴン2」は前作の流れを上手く取り入れスケールを膨らまし見所も増した良作です!
【A80点】