TAKARU1996 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
宇宙から始まる人生哲学
2015年11月3日 記載
全26話から成り立つ宇宙と人間模様、哲学、そして愛の寓話
語りたくない。
この『プラネテス』にだけは、そんな事を思ってしまいます。
正直、自分の中だけで完結させておきたい唯一の作品
私の拙い語りでは、本作を彩る傑作の鍍金がみるみる剥がれてしまうから。
だから、敢えて多くは語りません、語りたくありません。
少しだけの内容綴りのみ、お許し下さい。
『プラネテス』は、私が気になっていた作品の一つでした。
しかしお恥ずかしい話、その頃は仕事を題材にした現実的アニメ作品と言うのを見た事がなかったのです。
今でこそ、お仕事モノなんて1ジャンルとしてありますが、私が観た当時はそんなモノ等まだ流行ってない時代
アニメってモノはファンタジーあってこそだろ!の価値観が蔓延し、私も事実その通りだと感じていた時でした。
そんな固定観念に支配され、ずるずる視聴を先延ばし、どんどん時間を別の事へ費やす日々
全面的でなくても、ささやかな反抗が芽生えていた頃
これじゃダメだと満を持して観た作品、それが私の思い出『プラネテス』だったのです。
正直、ここまで心を揺さぶられるとは思っていなかったんですよ。
1話から徐々に観ていく内、自分が抱いていた薄っぺらい抵抗感は消え失せます。
スペースデブリを軸の問題として、そこに様々な現実の社会問題や事件、宇宙の怖さ、でもそこに潜んでいるロマンを上手く盛り込んだ前半
前半で少し話に触れていた主人公ハチマキの悩みや葛藤、そしてそこから導き出された1つの結論が上手い具合に作品と調和していく後半
前半後半の異なった内容が心にぶつかり、観ていて何度も涙が止まらなくなったのです。
ハチマキは私でした。
彼の心境は自身の境遇と大いに重なり、気持ちが痛いほど伝わってきました。
合う合わないの価値観はあるでしょう。
しかし、ハチマキの生き様を見せられると、考えずにはいられなくなるんですよ。
夢とか愛とか正義とか人生とか。
人間は道のどこかで、強くあろうと負荷をかけなければいけない時間があります。
無理無茶無謀の行動心理
でも、その限界を越えた先に見える景色を求めて、男は生きていきたいんです。
生きられるか、生きられないか。
二者択一の人生境界線選択
そして、どちらかを選んだ先に待つ1つの答え
それが全て、人生の全て
私にとっての「生きる意味」の解答が、本作にはありました。
このアニメを超える作品はこれから先、訪れないでしょう。
本作以上に面白い作品と言うのは、実を言うといっぱいあるのです。
谷口悟朗監督作品を挙げるなら、私の中で『スクライド』と『ガン×ソード』は面白さ不動の二大巨頭
『プラネテス』がこの2作品以上に面白いかと尋ねられたら……
首を横に振る他無いと思います。
しかし、彼の作品で最高傑作はなんですか?と尋ねられたら……
私は迷う事無く本作を提示します。
「面白い」とか「つまらない」とかの価値観では図れない作品
上記の基準を超越して生まれた、只々純粋に「凄い」アニメ
それが、私における本作の立ち位置
私にとっての「人生のバイブル」です。
全てのスタッフや声優の皆さんに感謝を。
この作品と出会えた人生に感謝を。
そして、そんな人生が数多くある世界に感謝を。
こんなに世界が「愛」で溢れている事を知った私は、最高の幸せ者なのでした。