STONE さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
生々しい感情の魅力
原作は未読。
展開はスポーツものとしては王道パターンといった感じで、主人公チームが集まり、練習
して、試合に臨むというストレートなもの。
特に奇をてらったようなものはないが、その分スポーツものにありがちな定番な部分を
とにかくていねいに描いている。
序盤は烏野高校のバレーボール部の面々をじっくり掘り下げていくが、主人公格の
日向 翔陽と影山 飛雄に関しては正反対の性格とも言える二人が決して仲良しこよしでは
なくとも、共通の目標に向かって次第に信頼関係を得ていく過程が一種のバディものとしてよく
描かれている。
この二人の攻撃が噛み合った時の爆発力は観ていてかなり気持ちのいいもので、1+1が
2以上になる部分をうまく見せてくれる。
まだまだ完璧なコンビではないのだが、そのちぐはぐさも含めて魅力的。
日向と影山以外の脇役にもかなり尺を割いており、ともすればスローテンポな印象もあるが、
その分各キャラは見事に立っており、ドラマとしての深みは増した印象。
更に中盤以降は対戦相手の掘り下げも結構やってくれるので、対戦相手も単なる敵を越えた
魅力を持っている。
烏野高校のバレーボール部自体は正直バランスの取れたチームとは言い難く、日向と影山
コンビと同じく粗の多い印象だが、その発展途上ぶりも含めて魅力的なチームといった印象。
試合自体は日向の跳躍力などは超高校級といった印象だが、基本的には超人的なものは出て
こない地に足の着いた印象のもの。
そのため地味に映るきらいもあるものの、その分ちょっとしたスキルの差、試合時の戦略・
戦術、とっさの判断力、選手のモチベーション、試合の流れなど、細かい部分の積み重ねが
勝敗に影響を与えていくところなどがよく描かれている。
試合や練習などのバレーボールの作画は躍動感、緊張感などがいい感じで描けている。制作は
Production I.Gだが、「黒子のバスケ」や「ダイヤのA」で培った球技作画のスキルがうまく
活かされているのかなと思ってしまった。
以前、「ピンポン」のレビューでスポーツものに関しては敗者をどれだけ描けるか・・・、
みたいなことを書いたけど、この作品も敗者が非常によく描かれている印象。
とにかく選手の気持ちの描き方が素晴らしく、勝者と敗者、レギュラーと控え、才に恵まれた
者と努力でそれを補っている者など、いずれも生々しい感情をうまく伝えてくれる。