「プラスティック・メモリーズ(TVアニメ動画)」

総合得点
84.6
感想・評価
2368
棚に入れた
11131
ランキング
284
★★★★☆ 3.9 (2368)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ダリア さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

名作になり損ねてしまった感

Mages.所属のシナリオライター、林直孝がアニメーションに挑戦。もうそれだけで視聴前から私の期待は最高潮でした。彼のシナリオは本当に素晴らしいです、シュタインズゲートの方と言えば分かるでしょうか。
8話と最終回が特に好きです。視線、間の取り方、演技、劇伴......その全てが神がかっていましたね。
さて、つらつらと悪かった点を挙げていきます。

 ツカサの成長
1話から、ツカサはキャッシュバックやOS関連の話をしてお婆さんに怒られていたりとマニュアル通りで配慮に欠けている行動、言動が散見されました。作中ザックに「何でも訊けば答えてくれると思わない方がいいよ」といった旨で咎められていましたし、視聴している私自身非常に目につきました。それにアイラにパートナーでいさせてくれと言った直後カヅキにパートナー解消を命じられすぐに異を唱えない優柔不断的な点も嫌でした。
アンディの回収方法を彼女に直接言う事もせず、どうにも愚直で純粋な主人公とは言い難く感情移入は出来ない、世界観の不明瞭さを視聴者と共有するための存在になってしまっていたようで好きにはなれませんでした。

 cパートについて
最終回ラスト、あれもう少し上手く描けたのでは、と思ってしまいました。せっかく最終回のEDまで素晴らしい出来なのにアイラがずっとしていた植木鉢の描写もせず、1話と対比させたツカサの行動には明確な成長が見受けられないというか、正直あれならCパートは描かない方が良かったのではと。

 5話(闇回収屋)の必要性
個人的にはここが一番大きい失点です。ワンダラー周りの設定、丸々描かなくても最終回まで描けましたよね?
あの場面で必要なのは「回収対象を期間内に回収出来なければ大変な事になる」「最終回にそうならないようツカサに意識を植え付ける」の2点のみ。
人に寄り添った存在のギフティアを敵として描いて欲しくなかった。
ミチルの回想では所有者並びに親族に危害が加えられそうになっての防衛に見えるんですが、マーシャの首絞めは殺人未遂描写です。作品根幹のテーマとしても禁忌であってほしかった。
4話で既にハートフルな家族モノが完成している中、本当に5話は必要だったでしょうか、と問わざるを得ない急展開でしたね。これからそういった路線でいくよというには時期肖早だし、結局最終回までワンダラー、闇回収屋は登場しないし。

 設定の都合の良さ
1度ワンダラーになってしまえば身体能力が著しく向上して近代兵器でも行使しない限り抑えが効かないような代物が、何故民間に広く流通しているんでしょう。技術的な話、稼働時間を過ぎれば強制シャットアウトで済む話、暴走に拘ったのは過去と絡ませたかったのでしょうが......そのせいで全体的な設定の破綻を見せてしまえば元も子もない。

 総評
麻枝准の前例もありますが、シナリオライターがアニメの脚本でも成功するのは難しい、改めてそう思いました。彼から挙がってくる脚本は大層立派だったのでしょう(ちょっと5話は擁護出来ないが)ただ、彼の理想の形となってアニメーションとして完成されたのが1、8、13話くらいだったんじゃないかなあ......と邪推してしまいます。流石にシナリオライター、関連を考えず各回の完成度だけを見れば5話以外の全てが非常に高い水準を誇っていましたが、全体としては効果的な間の取り方もそう多くなく、特に序盤は削れるような、ここを描くならもっとキャラの内面を掘り下げられるんじゃないかと感じるシーンも多かったので、惜しいです。
5話に目を瞑れば、クオリティは相当高いです。ハートフルな脚本が好みなので。林さんにはこれに懲りずもう一度アニメの脚本を描いて欲しいなと切に願います。

追記
個人的にはEDのアイラの口パク、あれは謎のままで正解だと思ってます。
気になると思わせる演出の勝利、良い手法です。

投稿 : 2015/07/23
閲覧 : 309
サンキュー:

7

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