退会済のユーザー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルなし
クレしん映画、第三弾。
前作とは変わって、本作はシリアス色の強い作品となっている。
その中核を成すのが、本作のゲストキャラクターである吹雪丸だ。
このキャラクターがまぁ魅力的。ダイアナお銀との戦闘での断髪シーンと「私は……女ではない!」、その時流れる一筋の涙は息をのむほどの迫力だ。一見の価値は大いにあり。
この戦闘に限らず、本作は殺陣のシーンが圧巻の出来。(戦闘という言葉よりも、こっちの方がしっくりくる)
菜の花畑での侍との殺陣にしても、見事な演出を目の当たりにする。
その前のシーンで、吹雪丸の回想によって、劇中での蝶が暗示するするものを視聴者に印象づけていたので、猫ノ進が蝶を切り捨ててからの「お前の両親を斬ったのは俺だ」というセリフの凶悪さ、その言葉で引き起こされる吹雪丸の激情が、ガッツリ伝わってくるんだ。
一方で【歴史改変を目論む犯罪者を捕える】という大筋の方は、いまいちパッとした面白味はなかったかなぁ。
ヒエール・ジョコマンのカスっぷりは申し分なかったとは言っても、そもそも歴史改変の動機がこれといって無く、なんだかなぁという感じ。
過去から戻ってからの展開には驚かされたものの、結局は「なんだったんだ」感は否めないままだった。
また、魅力的なキャラクターとして挙げた吹雪丸にしても、そのドラマの着地点は曖昧なままとなってしまった。
ダイアナお銀との対峙で流した涙は、自身の境遇に対する感情の表れに違いなく、彼女が自分に課せられた責任を受け入れるに至ったのか、それとも女として生きていくことにしたのか……がハッキリしない。
一応、歴史が戻ってからの彼女は当主となったようだが、それだと、劇中で匂わせていたリングさんと吹雪丸の関係はどうなるんだろう?
リングさんは吹雪丸の子孫っぽいけど、だとするとやはり吹雪丸は女として生きたのだろうか……うーん、モヤモヤするなぁ。
アクションの見応え、前半と後半でガラッと変わるビジュアル面といった楽しさを重視しての高評価。