「プラスティック・メモリーズ(TVアニメ動画)」

総合得点
84.7
感想・評価
2369
棚に入れた
11131
ランキング
280
★★★★☆ 3.9 (2369)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

薄命アンドロイド少女の悲恋系。SF設定は拙いが、ピュアなラブコメとヒロインの可愛さは評価する価値あり!

アニメ会社「動画工房」制作のオリジナルアニメ。全13話。
「イヴの時間」的な人間とアンドロイドの関係がテーマのラブコメです。
見所は、アンドロイドの美少女「アイラ」の可愛さでしょうか。
割と王道の悲恋系で、ピュアなラブコメとしては見事。ラブコメの波動を感じる!

…SF設定の拙さが足を引っ張っている感は否めないです。
恋愛劇以外の要素(社会ドラマや人工知能との関わり等の哲学性など)は殆ど期待出来ないので残念ながら「イヴの時間」級の名作には遠く及ばないです。
本作は過度な期待は捨てて「アイラの可愛さ」を愛でる、ピュアなラブコメをニヤニヤ眺める、切ない悲恋に胸打たれる、等々を、素直に評価出来る人向き。
…ピュアなラブコメとしては強力なので、そこは期待できます!
※レビュー前半酷評、後半絶賛してます。

{netabare}『物語』
「ギフティア」という、人間に限りなく近いアンドロイドが人間社会に溶け込んでいる世界観、で繰り広げられる、人間の少年とギフティア少女とのピュアなラブコメディー。
ギフティアは「寿命が9年ちょっとしかない」「期限が来たら回収され、人格リセットされる」
で、ヒロインであるギフティアのアイラちゃんは、もうすぐ寿命なのであった…。
…本作は別にネタバレ回避に気を遣うタイプではなく、早々に展開自体は読める為、素直に恋愛模様を見ていけばよいかと。

本作の魅力はアイラのあざといまでの可愛さと、主人公ツカサとの、不器用でもどかしい、けれどタイムリミット迫る切ないラブコメにあり。
特に目新しさの乏しいベタな王道ながら、非常に丁寧に繊細に描かれるので、切なさや微笑ましさならば、かなりのものです。

一方で欠点は、SFとしての設定の拙さ。
詳細や考察は他の方々が散々述べられている通りなので言及しませんが、設定の拙さが物語全般に悪影響が避けられないレベルなのは、拙い。
…別にアニメとは空想ファンタジーなのだから、SF設定ガバカバ自体は一向に構わんのです。
ただ本作は「視聴者を気分よく世界観や物語に没頭させてくれる、上手な嘘」が致命的に下手でした。
※ジャンルも違う別作品ですが「ガールズパンツァー」や「ドッグデイズ」「ソードアートオンライン」等々の人気作品は総じて「嘘設定が巧妙で上手」でした。
同じく悲恋系(ヒロインも雨宮天さん)の「一週間フレンズ」も「藤宮さんの記憶リセット」設定を「有無を言わさぬ現象」として強引に物語形成してましたが、特に気にならなかったです。
冷静に考えるとツッコミ所あっても、いつの間にか大勢の視聴者を物語に没頭させてくれる。

…細かい設定に言及せず、と言いましたが…一言。
中盤の暴走設定は完全に要らなかった。
これで折角のピュアラブコメとしては優秀な本作の印象微妙にしてしまっている。


設定面以外では
内容薄い(決して悪い意味ではない。社会問題や哲学などを省いてラブコメに特化しているという意味)割に全13話という尺は少々冗長だった感も。
序盤と終盤、全6話くらいで綺麗に纏まるストーリーだったような。
折角の1クール作品としては、+アルファの魅力(社会問題や哲学などのアンドロイド物ならではの要素)が無いので作品全般としてはいささか物足りないです。
本作の13話分の尺は、周辺人物のドラマと中盤の暴走設定に費やされてましたが、功を奏したかは微妙。
本作のような作風の先達(イヴの時間、こわれかけのオルゴール等)が軒並み劇場版やОVAくらいの尺で、綺麗に美しく纏まっているのを鑑みるに、13話も要らなかったのでは?

終盤~ラストは素晴らしいのですが…できればもっと「あざとさ」が欲しかった。
ツカサの静かさも本作の魅力とも言えますが、どうせ王道悲恋系なのだし、もっと露骨にお涙頂戴してきてもいいのよ?
泣ける度では、10話が最高潮(アイラが歌う挿入歌でジーンと涙が…)なのは素晴らしいが、残りも繊細な魅力あれど、感動のピークは過ぎてしまっている。
本作はただでさえ全体的には微妙なので、せめてクライマックスでのカタルシスが無ければ、1クール視聴時間費やした「割に合わない」。


…と、諸々の欠点故に良作とは言い難いのですが、ここからは良かった点を。
冒頭述べた通り、「タイムリミット付きピュアラブコメ」としてはベタながら素晴らしいのも確かなのです。
1話2話は個別エピソードで(ベタでありがちながら)お涙頂戴としては十分ですし、その後もツカサとアイラの不器用な関係も丁寧かつ繊細に進行。
記憶リセットで誰かを辛い思いさせたくない、だからツカサを好きになりそうだけど、距離をおかないとこわい…
そんなアイラの切ない迷いを、ツカサの一途さと、同僚たちの後押しが、少しずつアイラの感情を変えていく。
その過程で揺れ動くアイラは切なくも、滅茶苦茶かわいいです。
終盤の、まるでパートナーの死期が近い老年夫婦めいた静かな愛情のやり取りは、地味ながら胸打たれました。

「別にアンドロイドでなくても良くね?不治の病の人間美少女で良くね?」
とは、私含む大勢の視聴者が思うところと思われますが、本作終盤を見ると…
この二人のピュアな関係性は、アイラがアンドロイドならではだと気付きます。
その理由は「回収業務を通して、寿命限界が一般化している」という舞台設定を設ける事。
ツカサとアイラの別れの前に、何度も人間とギフティアの別れを演出、これが二人のドラマに深み与えている。
人間の薄命少女では、この設定難しいのでは。

※強いて考えると、主人公が臓器移植コーディネイターでヒロインが臓器移植しないともうすぐ死ぬ少女のラブコメかな?
って、「ブッキングライフ」という漫画ありました。(サザンアイズや万能文化猫娘の作者の作品。アニメ化してない)
でも、ブッキングライフのヒロインは身体弱い(不治の病だから当然か)ので一緒に仕事は出来ませんし、下手に萌えに走るには不謹慎になりかねない難しい題材なのも難。
やはりベタながら「寿命限界が近いアンドロイド」の方が、悲恋ラブコメには向いてますね。

総じて
アイラの可愛さと、序盤の王道、終盤の穏やかなピュアラブコメ
に注目すれば、かなり光る作品でした。
物語評価は減点法だとかなり難があるのですが、良い面を積極的に評価したい。
※全然別ジャンルですが2014年度の「天体(そら)のメソッド」と本作は通じるモノを感じます。
ヒロイン傑出して可愛い、オリジナルアニメ、始めと終わりは中々、中盤難あり、と共通項多いので。
両作品ともに、もっと全体構成が練られていれば、名作足り得たポテンシャルありました。
欠点はあれど本作の方が感動したので、総合評価は上です。


『作画』
全般的に見ると粗が多かった模様。減点法だとかなり低くなるのでは。
…しかし。
アイラは可愛かった。アイラが抜群に可愛かった♪アイラの可愛さのみに絞れば、傑出してました。
キャラデザも非常に好みな上に、喜怒哀楽の表情やしぐさも繊細かつあざとく可愛い。
OPラストで毎回変わるアイラの表情に一喜一憂でした。
おしっこガマンして漏らしそうになる表情など、色んな場面でいちいち可愛かった。
2015春期、純粋に作画での萌えにおいて「SHOW BY ROCK!!」のシアンちゃんと二強でした。
作画的に(ああ^~かわいいんじゃ^~)という意味では京都アニメーション規格外の怪物「響け!ユーフォニアム」よりも可愛さでは上でした。
…全般的に作画低調であってもアイラさえ可愛ければ大満足!
全般的には低調でしたが、背景は、遊園地のシーンなど、決めるべきシーンでは情緒溢れる演出あるのも高評価。あえて過大評価してみる。

『声優』
アイラ役の雨宮天さんがベストキャスト。「クールなポンコツ」な可愛さと喜怒哀楽を生き生きと好演。
一週間フレンズの藤宮さんに次いではまり役だったのでは。
奇しくも今作も記憶リセット系ヒロインですねぇ…。

ツカサの内匠靖明さんも、一見地味ながら難しい役どころを見事に好演されました。
一見すると感情が分かり難い場面での、アイラへの複雑な想いや愛情を、静かに繊細に表現されていたのを高評価。
キャラとしては地味なツカサの印象は、内匠さんの好演が大きい。

この他全体的に優秀で、ヤスタカの津田健次郎さんのオッサンの魅力はかなり高し。
カヅキの豊口めぐみさんはちょっとブラックラグーンのレヴィっぽかったw
赤崎千夏さんもはまってくました。

序盤回収対象のギフティア幼女のタマもとい久野美咲さんも素晴らしい。
あざとい!あざとくかわいらしく、泣かせてくれました。
もし本作が短編であざとさ狙った場合、メインヒロインは久野ちゃんも良かったかも。
…七つの大罪のエリザベスとホークちゃんやんけ。

『音楽』
OP「Ring of Fortune」が素晴らしい良主題歌。
何が素晴らしいかって?「歌詞が作品主題に対して素直」だからです。
歌詞のサビに「プラスティックの~♪」とタイトル一部挿入しているのが気に入った!
歌詞の一つ一つが、本編の大事なシーンをちゃんと盛り込んでいる(観覧車とか)
まさにプラスティックメモリーズとアイラの為に作られた、切なくも美しい歌です。
ED「朝焼けのスターマイン」もしっとりと泣かせてくれる。
アイラ(雨宮天さん)歌う挿入歌「好きなので。」もあざとい!
10話が一番ジーンと泣けたです…。

『キャラ』
アイラが可愛いに尽きる。
まず上記の通り作画的に抜群の可愛さあった。
キャラ的にも、一見クールだがポンコツっぷりが萌えるに十分!
「なので」「エラー。聞き取れませんでした」かわいい~♪
機能落ちていても健気にがんばる姿、次第にツカサに惹かれていく恋心、ツカサを悲しませたくないので、ツカサの気持ちを受け入れるのを怯える迷いは優しさ故。
寿命が近いアンドロイドヒロインとしては完璧に近い可愛さでした。
本作は色々と欠点あっても、アイラの可愛さで許せる!

ツカサは地味で冴えない主人公でした。
地味なんですが、彼の真価は地味で分かり辛いながらも、アイラを好きだと決めたら一途なところ。
紆余曲折の迷いはタイムリミットも相まってもどかし過ぎるのですが、そこは同僚たちのお陰でピュアラブコメ主人公として合格ラインに立てていたのでは。
魅力が分かり辛いですが、非常に良い主人公です。

同僚たちは賑やかで個性派、二人の恋愛を終始応援してくれた彼らが居なければ1クール持たなかった…。
ただ、個別のキャラドラマが今一歩だったのは残念。
ミチルの養父がギフティアな下りは別に要らなかったような…
(ニコ動のコメで「義父ティア」というギャグがw)

ゲストでは、1話の幼女ギフティア・ニーナちゃんが可愛かった。{/netabare}

投稿 : 2015/07/24
閲覧 : 485
サンキュー:

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