血風連あにこれ支部 さんの感想・評価

4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

確かに凄い

魔法少女の類は苦手なんですが、超が付くほどの話題作だし、今更になってDVDを借りて視聴。
うーん、何でこんなに凄い作品をスルーしてたんだろう。結論から言えば、完成度は非常に高いと思います。
魔法少女と言う、メルヘンかつどこかチープな世界観に入り込んだのかと思えば、たどり着いたのはそれ以上に重厚でかつ殺伐とした戦場だった、と。
既定の、魔法少女という路線を土足で踏みにじった残酷なディストピア。
こんなの間違って日曜朝に流した日には子供達が卒倒しちゃいますね…。

掴みのインパクトとしては十分なんですが、そこから更に絶望感を加速させつつ、無駄のない展開で前半ばら撒いた伏線も過不足無く回収する。
構成が優れているのか、演出力が凄いからなのか。いや、両方ですね。
主人公が最初からドラゴンボールを7つ揃えた状態に等しいのに、絶望感で最終話までグイグイ引き寄せたのも脚本の手腕による所だと思います。そこからの逆転も。

{netabare}本作のループ構造はあくまで物語を構成する要素の一つでしかなく、シュタゲほどがっちりとかみ合っているわけでもなかったですが。
本作の本質はそこではなく、“うまい話には裏がある”というメッセージを、魔法少女というジャンルで視聴者に訴えかけた所にあるのではないかと。（キュウべえみたいな悪質なのは現実に割といるというのも皮肉ですね）
人を救いながらそれ故願いに首を絞められる状況になったさやかの悲劇や、杏子のトゲのある優しさ、ほむらのループと決意のシーン。そういった積み重ねも良かったですけど。やはり契約構造の地盤があればこそ、ではないでしょうかと思いました。（そこがまほいくとの一番大きな違いでしょうか

神になるだとか概念化するだとか、超展開過ぎるオチに関しては賛否両論だろうし、大絶賛するほどではないけど種明かしとしてはアリかと思います。
素直な感想を述べると、大胆なラストを超作画で上手く描き切って絵的な説得力を持たせた点が、本作が成功した秘訣なのかも？　と思います。

ずっと伏せていたジョーカーを最後の場面で出し、すべてをひっくり返す。
タイトルが魔法少女まどか☆マギカなのに、肝心の変身を最終話まで引っ張ったってのは、皮肉が利いてて実にいいと思います。{/netabare}

欠点とすれば、タイトルがオタ風吹かせすぎて人には薦めにくいって所ですかね。
この類のジャンルが苦手な自分でも入り込めたので、過度に偏見を持っていなければお勧めできる作品だと思います。