ビアンキ さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
確かに青春していた。
今更ながら全話見終わった。
前作の感想に書くべきだったかもしれないが、原作は読んでいない、未読。
本作の感想を書いてみる。
まず思ったのは、
前作に比べて主人公は「ヒーロー」ではなくなった、ということ。
前作では、 奉仕部に対して来る少々解決が困難な依頼に対し
常にひねくれた、しかし筋が通った解決法を毎回提案・実行していくという、
割と単純な、しかし面白いネガティブキャラだったが、
この続編では、そういったヒーロー的な面は薄れ、 一方で前作以上に主人公の心情の描写が増えた。
その上本作はずっと地続きである。前作のように一話から数話完結の構成ではなくなった。
このためか本作は、前作よりもスッキリとはしていない。
この変化は視聴者一人一人によって大きく意見が割れると思うが、決して悪い変化ではないと思う。
ちなみに私は前作より好きだ。
…で、 前作に比べて増えた、主人公の心情描写で描かれていたのは、
主人公:比企谷八幡の、比企谷八幡としての、
あるいは「ヒーロー」としての
在り方、だった。
主人公は「ヒーロー」として、動くための理由を欲しがり、苦し紛れにヒーローを演じ、
そして「比企谷八幡」個人の心情の吐露として、 ヒロイン2人の前で「本物が欲しい」という発言をした。
キャラクターの心情や、それが反映された発言に関しては、主人公も他のキャラも、
とても簡単・単純に表現できるはずのことを、ぼかして、 抽象的に表現しており、 理解するのは難しい。
しかしこの、キャラクターの抽象的で、正直な心情の吐露を読み解いて理解・考察すること、
これは前作には無かった、本作の面白さのひとつと言えると思う。
…やっぱり触れなきゃいけないよね。
「本物が欲しい」とは?、主人公が求める「本物」とは?
私には正直分からない。
例えば最終回の最後の方、由比ヶ浜の雪ノ下への告白に、比企谷が割って入らず、ヒロイン2人がしっかりと決着をつけたとして、
あるいはあの場で、主人公含め3人が心情を、それぞれの思いを吐露したとして、
そして
何にせよ全ての決着がついて手に入った、定まった「結果」が、 果たして主人公の求める「本物」なのか?
作品中で明確な答えは出ていない、はず。
いろいろと考察することはできても、
作品中から読み取れる部分だけを繋ぎ合わせて考えてみると、
自分で言うのもなんだが、現状では、
私の「分からない」という答えは正しいのではないかと思う。
まぁ、この部分をアレコレ考察するのもひとつの面白さ、楽しみだとも思うし、
原作では、もう「本物とは」の答えは出ているのかもしれないけどね。
読んでないからわからないけどさ。
最後に
最終回の3人がクラゲを見ているところの回想でちょっと衝撃を受けた。
主人公たちが確かに「青春」していたと気付かされたから。
特に前作では、青春しているのはどちらかというと依頼者たちの方だと思ってたんで。
結論をぼかした本作の終わり方には納得いかないのだが、 この回想は非常に良かった。
まとめ
前作とは違い、スッキリとした構成の、ある種のヒーローものではなくなったものの、
キャラクター達の難しく・分かりづらい、しかし正直な心情を読み取る、あるいはそれを考察するという、
別の面白さを与えられた「秀作」だと評価します。
下手くそな文章、お読み頂きありがとうございます。