まろちゃん さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
完全な 「安全」とは?
この作品では全てが「犯罪係数」と呼ばれる心理状態のもとで人間が統制され、そこに人の感情は介入できない世界であり、その中でのあらゆる人の葛藤が描かれています。
今の時代は法治国家のもとで国家の暴力のみを正当化し、法の名において人を裁くことで人は行動を制限され、それと引き替えに安全を獲得しています。
本来安全とは、非人道的行為を取り締まる事で達成されうるものですが、その事によって、人間が人間として振る舞える行動が制限されているのではないかという疑問が生じます。
そのいわゆる人間的な行動というものは具体的な線引きは存在しない曖昧なものでありますが、今の時代でもその事に対して疑問を持っている人もいます。
本作では、その安全を突き詰めるあまりに人間の感情をも、法の対象とし、ますます行動が制限されているので、人間が人間としてあるべき行動がとれなくなっているのではという疑問がより、人々の中に生まれるのではないかと思って見ていました。
そのような世の中でも、人々が安全を選択している情景は、ある種の人間の本質を垣間見ているような感じがしました。
(ここまで人間が安全を求めるとは限りませんが)
なんだか哲学的で、結構考えさせられる事がありますが、そういうのが好きな人はオススメです。
あと、バッドエンド上等な感じなのでそういうのが嫌いな人はあまり勧めません。