退会済のユーザー さんの感想・評価
3.6
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルなし
TV版を数年前に通しで視聴したっきりの状態で、本作を手にとってみた。
ニュータイプという設定を扱った複雑で繊細な人間達の群像劇の面が強い【Z】に比べて、初代はジュブナイル路線で始まったこともあって、やや抽象的なセリフ回しを除けば、内向的な主人公の成長物語として実はシンプルな構成となっている。
それが、本作では映画用に再編集されたことで、強調されているように思える。
4クール時には存在していた【放送期間ゆえの単発回】がなくなったことで、アムロ=レイに焦点が絞られたことは、僕にとっては嬉しい編集だ。
三部作構成となるこの一作目は、戦争によってアムロ=レイが自分の居場所を失くしていく物語だ。
特筆すべきなのは、やはり母親とのエピソードだろう。この話は何度観てもその完成度の高さに感心するばかりだ。
ジオンの強襲によってコロニーを去る羽目になったアムロは、望まない戦いを強いられていくうちに、精神を擦り減らしていく。
安息できる場所を求め、訪れた故郷での母との再会でも、しかし、返ってきたのは拒絶の言葉であり、皮肉にも、アムロが求めた言葉を発したのはブライトだった。
母ではなく、ホワイトベースを選んだアムロ。この時点で、アムロの居場所は戦争の中にしかもはや存在しないのである。
シャアの貴重な強キャラ時代を懐かしみつつ、編集によって凝縮したストーリーとあって、僕としては大満足の出来。
ククルス・ドアンの回が丸々カットなのは残念ではあるけど、まぁぶっちゃけあの回はただの単発回で、キャラクターのドラマには対して貢献してないし、仕方ないか……。