STONE さんの感想・評価

3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

「お姉ちゃん」と呼ばれたくて

　原作は未読。
　鑑賞前は癒し重視のほんわかした作品かと思っていたら、思ったよりギャグ色が強い作品
だったかなあ。
　序盤は1話に一人づつキャラ紹介をしているような感じで、じっくりとしたペースの印象。
　そういう意味では作品の本質が判るのは中盤以降といった印象で、中盤以降は安定しつつ、
面白さが上昇していた感がある。

　この手の日常系作品は作品の個性を出すためのモチーフがあることが多く、この作品の場合は
「喫茶店」、「コーヒー」、「うさぎ」などがそれに当たるのだろうが、そのモチーフを
活かしきれなかった感があって、ちょっと勿体ない印象。
　早い話、モチーフの扱い方がちょっと物足りなかったかなと。
　そのため、例えば「喫茶店」などは作品の舞台にはなっても、あるあるネタにまでは昇華して
いなかったり、作品ジャンルとしてお仕事モノの側面を出すまでには至らなかった感がある。

　もっともその分を補うかのごとく、キャラの魅力は溢れていたように思える。
　中心にあるのはココアとチノで、見事にボケとツッコミとして機能。
　ココアに関しては単なるボケには留まらず、チノにお姉ちゃんと呼ばれたくて色々と頑張る
姿が微笑ましくあるのだが、これが見事に空回りしており、それが笑いどころでもあったり
する。
　それに対するツッコミのチノだが、単なるツンデレともクールとも違う独特の雰囲気を持って
おり、そんな彼女の持つ間や空気感がネタをより面白くしているみたい。
　ドラマ部分としても次第に二人の仲が近づき、本当に姉妹のようになっていく過程は観ていて
心地良いものがある。

　続くリゼ、千夜、シャロのいずれもなかなか魅力的だが、リゼに関してはツインテールに紫の
髪、本人はしっかりしているつもりだが、意外と抜けているところなど、更に中の人がいずれも
種田 梨沙氏ということで、どうも「きんいろモザイク」の綾とイメージが被ってしまう。
　面白いのは他の同系統作品だと、レギュラーキャラは皆同じ学校に行ったり、同じ場所で
働いていたりすることが多いが、この作品はそれぞれが違う学校や職場というのが珍しい。
　そのため複数の場所でのそれぞれのキャラの行動が描かれる一種の群像劇的雰囲気もあった。

　他に印象的だったのは青山 ブルーマウンテンとチノの祖父との関係性。
　青山からの視点だと、亡きマスターを偲ぶといった感じのしみじみとしたエピソードの図式
なのだが、当の本人はティッピーとして健在であるため、ちっともいい話にならないのが
面白い。