タマランチ会長 さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.0
作画 : 2.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
中途半端に凝った画面が嫌味になっちゃってる
12年の劇場公開作品です。
なかなかファンタジックで文学的な話なんです。その実写的な映像美と田舎の夏の雰囲気がたまらなく郷愁をさそいます。ただ、話の筋がよく分からないのに、画面や映像の処理にやたら凝っただけでは、ついていけない人が多くなるのも自明の理で、この作品がヒットしなかったこともうなずけます。この手の話にありがちないやな自慰的な嫌味を感じてしまうんですよね。
この作品は人物の動画の線を太い黒で、鉛筆のラフっぽい処理をしています。実写的な画面を作りながら、アニメならではの表現を強調する。なるほどと思います。思いますが、その線がところどころ途切れていて、動画にするとなんか「雑」な処理をしているかのように見えてしまいました。ウィキによると、全編CGを使わず手描きにこだわったらしいんですけど、それが「雑」に見えてしまってはいけません。不自然にぬるぬる動いたり、かと思えば動画枚数が足りないんじゃないかと思うくらいかくかく動いたり、気になって物語に集中できなかったです。
まあ、クライマックスの主人公がヒロインの手を引いて走るシーンは、ロトスコープで何とも言えない画面を演出し、そこにユーミンの歌が重なるもんですから、もう何かわからんけれども引き込まれてしまいました。でも、それじゃいけないですよね。アニメらしい作画で人を引き込むならもっと完成させたものにすべきだし、話の筋も初見で分かるようにすべきです。こういうところが、この作品を「無名の名作」どまりにしてしまっているのだと思います。