「下ネタという概念が存在しない退屈な世界(TVアニメ動画)」

総合得点
71.3
感想・評価
1256
棚に入れた
6863
ランキング
1377
★★★★☆ 3.5 (1256)
物語
3.3
作画
3.5
声優
3.7
音楽
3.4
キャラ
3.6

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北山アキ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

語彙力がある下ネタなので「小学生のウンコ」と同じには語れません

原作未読

最後まで観て
画的にエロというわけではないので、それを期待してはいけない。
ただ、下品ではある。
一般的に、日本人より、中国人のほうがこの作品の批評性を理解しやすいかもしれない。

僕はリベラル寄りで、15年前にメキシコにTシャツを買いに行ったくらいマルコス副司令官が好きではあるが、安保関連法案に否定的では無いから、SEALDsみたいなのとも考え方は違う。元行政職(今は民間)、つまりは様々な利害関係者間の落としどころを調整・準備する組織の一員だったので、理想の追及が良い結果を産むと思ってはいない。
ただし、そんなリベラルかと言うとそうでもない。
途上国での開発独裁にはそれなりに賛成するが、先進国での一党独裁は明確に反対する。独裁国の反政府的途上国人の想定する民主主義の曖昧さと幼稚さには反吐が出るし、先進国人が議会民主制を民主主義と妄信する権力への恭順的態度にも反吐が出る。
結果が良いなら民主主義にこだわる必要すらない無い。と、明確な思想的な物語や信仰ではなく目先の状況に適合する手段を重視するあたり、結局、僕は機会主義者に過ぎないかもしれない。
また、それを昔からうっすらと自覚はしているので、選挙に投票しに行ったことは一度たりとも無い。政治的な参加の義務も権利も、まずは、無かったことにして貰いたいと思っている。
とはいえ、今の日本は既存の仕組みが機能不全に陥っているわけでもないと思うので、現実的な選択として、日本がラディカルな変化を必要としているとは思わない、こんな感じで悪くはないんじゃないの?似非民主主義だろうが、近似民主主義だろうが、それ以外も含めた混合物だろうが結果オーライ!くらいに思っている。でも、人口の自然減は例外で、大胆な人口輸入は必要と思う(根本に関わる問題かもだけど)。

という僕の考え方を表明したところで、このアニメ作品の話に戻ると、SOXには、主張は政治化させても、自らは政治化しない・されないという立場にぎりぎり踏みとどまった闘いをして欲しいと思う。
作品としては、娯楽性を前面に押し出してバカをし続けることが、そこに通じるんだろうなと思う。
1クールとても楽しめました。
二期があれば嬉しいです。

4話までの感想
寒気を催させる展開で良かったです。
でも、これは巧妙な罠なのではないでしょうか。

まず、この作品は「性表現の規制に疑問を呈する」のがテーマではありません。
この作品が公共の電波で流れている日本は規制の厳しい国とは言えませんから。
だから「性表現」ではなく「表現」や「思想」の「統制」がテーマだと思うのです。

それと、少し脱線しますが、少子化は性表現の規制とは全く関係ありません。
途上国を見れば、性表現を規制すると少子化するという論理が成り立たない
ことは明白です。、
よった、この作品のテーマと少子化は全く関係ありません。

そもそも、「少子化=悪」という考え方はこの作品の公序良俗健全育成法と
何ら変わりはありません。
少子化による労働力=消費力=市場規模の縮小に対し公権力が対策をとり、
そこに商機を見出した民間企業が参入するのは合理的なことです。
しかし、子どもを産まなかったら罰則を与えると言う法律ができたら話は全く別です。
それは、公権力による個人の選択権に対する不当介入です。
僕は日本が少子化しようが、それが個々人の自由選択の結果なら
何も問題視すべきことではないと思います。
労働環境の悪化等別の要因があると考えられる場合、それはそれとして問題視すべきです。

公権力が構成員の過半数の支持が得られる程度に性表現を規制するのも当然です。
しかし、個人の不可侵な個人性を否定するような介入は怖いです。
その介入を当然と考える人たちは怖いのです。
だからアンナ会長の思想・信条・思考様式は怖くて、寒気が走るのです。

でも、これは罠なのかとも思います。
個人の頭の中は性癖も含めてあくまで個人の自由なので責められません。
(もちろんアンナの行動は普通に強姦だったから、普通にNGですが)
怖かろうが頭の中に留めていれば他人がどうこう言うマターでは無いのです。
(この考え方も現代的人権観に毒されているだけかもですけど)
無知であることを歪んでいると言い、発情したら変態と言う。
そんな自分の価値観の押し付け(そうすることしかできないから、それ自体は否定できないけど)の中に公序良俗健全育成法の萌芽はあるんじゃないかと思ったりするわけです。

「下ネタという概念が存在しない」というのに対し、
「概念はあるじゃん」って意見をいくつか見ました。
「その概念を認識できるから規制できてるんだろ」という理屈かと思います。
でも、テーマを思想統制であって、「下ネタ」というのは単なる一例に過ぎないと考えれば、
「〇〇〇という概念が存在しない退屈な世界」をタイトルと解することができる。
その場合、より重要なのは「〇〇〇という概念が存在しない」ではなく「概念が存在しない退屈な世界」の部分であるように思う。
つまり、思考を制限される世界は退屈だ、ということになる。

2話までの感想
思想統制は現代的な権力関係のメカニズムにおける根本を成すもので、
テクノロジーは容易にその走狗となり得る。
「監獄学園」はひたすらバカで面白いけど、
こっちはバカをしつつ批判精神にも富んでいて面白い。

投稿 : 2015/09/21
閲覧 : 332
サンキュー:

7

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