sinnsi さんの感想・評価
3.7
物語 : 2.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
3Dシーン”は”ハイクオリティ
この作品の3Dシーンは本当に素晴らしい。
ETM12という設定の元、SDキャラクター(プリティモード)となって、基本は1対1での肉弾戦バトルを交わすのだが、
次から次へとメリハリが効いてヌルヌルと動き、背景や小道具を一切無駄にせず、
攻撃や動きに合わせて細かく一つ一つが、丁寧かつ激しく移り変わり、とても先が観えない。
なおかつ、主人公のにゃ~たんは猫を擬人化したキャラクターでいて、基本は直立しているのだが、
攻撃や回避では四つん這いとなり、猫と人間の動きを絶妙に取り入れた運動を行うのだが、その一挙一動がとても愛くるしく、
全SDキャラクターにおいて、そのデザインや動き、絶えず移り変わる豊富な表情には、萌えとはまた違った可愛さが凝縮されていて、
本当の意味で、バトルと可愛さの合わさる映像作品を観たのは初めてだった。(大概は武器等が浮いている)
そして、「あっち向いてホイ」「将棋」のように動きの少ない別趣向の戦いもあったが、
これも細かい動きの一つ一つや演出が素晴らしく、同様に存分に楽しめる出来栄えだった。
しかし、手放しで3Dシーンは本当に素晴らしかったのだが、問題は2Dシーンだ。
基本的に、にゃ~たんの一方的なハイテンションギャグによって、ストーリーは進行していくのだが、
その過程でメタネタやパロネタが多く見受けられる上、また基本的にそれが滑っていて疲れるのだ。
では、その先に3Dシーンという安息が待っているのかと思いきや、
まず2話までの動きは少々単調でいて3Dの魅力はあまり伝わらず、クオリティが上がっても5話までは5分前後で3Dシーンが終わり、
7話では総集編回が待っているので茨の道が続くが、その甲斐あってか最終回の3Dシーンはまばたき一つ惜しい。
そして上述の通り、私は序盤の3Dシーンにピンと来なかったので、序盤は何かに期待してこの作品の視聴を続けていた訳ではなかった。
単に惰性と、花守ゆみり演じるウリたんの「ですです」という、声に芯が通っているのに、とても甘いロリボイスに惑わされただけだ。
しかし最終的には3Dシーンの虜となり、にゃ~たんに一番魅力を感じるようになっていた。
だが、3Dシーンのみで構成された短編アニメでは『えとたま』という作品に深みは出せないだろう。
2Dシーンもギャグを除けば、ストーリーは王道でありながらも筋が通っていて、キャラクターもどこかで見たような性格なようで、それぞれ個性があるのだ。
にゃ~たんもあの性格ゆえ、3Dシーンでもはつらつと動くのに、呼吸を感じられるのだ。
小難しい作品を、頭をウンウンと捻りながら対峙する者はそう珍しくもないが、それはその先に安息があるからだ。
この作品は、ただ逆の概念を求められているだけに過ぎず、性質的には似ているのではないだろうか。