雷撃隊 さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ヤマト、スター・ウォーズの影響を受けたか
この時期のヤマトはマンネリぎみだ。しかしつまらないかと問われるとそうでもないんだけど・・・。
シリーズが長く続くとどうも中弛みになるのが必然らしい。この「暗黒星団帝国編」はイマイチ特徴がなくパッとしない。
「新たなる旅立ち」は140分の企画だったのが突貫工事で95分に短縮して荒削りな印象。永遠には逆に150分と長い。中身は「どこが永遠になんだ?」というようないかにも途中経過なストーリーだ。まず雪がヤマトに乗らないしデスラーも出てこない。例によって例の如く地球が敵に占領されてヤマト発進、戦闘を繰り返し敵の本拠地に到着、敵の星を破壊、というパターンをいつも通りにこなし帰還する。全体的にこじんまりした印象だ。
松本零士による初期案では前作の十数年後の物語で機械の星になってしまった地球を舞台に最後の有人艦になってしまったヤマトが孤軍奮闘する物語だったそうな。機械化の果てに人間性を失うか心を持った人間でいられるかは現代に生きる我々しだい、という999に近いテーマで面白そうだが西崎義展はヤマトを続けたかったためにいつもどおりのヤマトとなり結果薄味な作風に・・・。
しかしながら褒める箇所もなかなか多い。ヤマトの10年の歴史はSFアニメの技術の進化そのものだ。やはり一作ごとに作画や特殊効果が向上している。今回から止め絵のヤマトにハーモニー素材が使用され重厚感が増している。この表現は後の「ナウシカ」に顕著だ。また「スター・ウォーズ」を研究した影響が目立つ。ワープの表現が「異次元空間に潜る」から「加速」へと変化している。またコスモタイガーによる敵基地攻撃のシーンはトレンチで空中戦をやらかすので「デス・スター攻略戦」を思わせる。この戦闘シーンは伝説的アニメーター金田伊功氏を語る上で絶対に外せない名場面だ。今見ても立体感がすげー。コスモタイガーのテーマ曲もカッコイイぞ。
今作からヤマトが改装型にパワーアップ、艦内のデザインが一新され新装備も追加される。爆雷やミサイルの使用法は現代のイージス艦のようで現実がSFに近づいたようで面白い。敵艦隊のデザインは円盤に艦橋やターレットを設置した形状だがこれは明治のロシア艦隊がモチーフだ。相変わらずデザインと艦隊戦は素晴らしい。
宮川泰のBGMも相変わらず素晴らしい。1作ごとに敵軍のテーマ曲が作曲され作品の顔になってゆく。これはシリーズ化のプラス面だろう。コスモタイガーのテーマもスピード感があり爽快だ。
ヤマトはもともとスター・トレックに影響を受けた作品だが第二次世界大戦の艦隊戦、航空戦を宇宙で再現した点はスター・ウォーズよりも早い。(ちなみに初期のスター・トレックは戦艦よりも潜水艦に近い)藤川圭介氏がルーカスフィルムに見学に行った際、「ヤマトは我々の教科書です」と敬礼された。昭和の頃から我が国ではハリウッドの得意とするジャンルはアニメと相性がいいようだ。日本ではまともな実写スペースバトルは絶望的なのでアニメで堪能するのが一番だろう。