スパイ隊長(休止中) さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
京アニの中で異質な存在。。
「良作」
※自分のレビューを見るときはプロフィールを参考にしてください。
死ねない(正しくは尋常な速さで傷を修復する)体をもつ半分人間、半分妖夢の主人公と異界士(妖夢を退治する異能力者)で呪われた血(近づいた人、特に異界士、に悪影響を及ぼすとされる血)を持つヒロインの話。※妖夢は人間に害する存在、一般人には見えない。
主人公には「境界の彼方」というとてつもなく危険な実体のない妖夢が体内にあるせい(おかげ?)で不死身でいられる。ヒロインは「境界の彼方」を破壊することを目的で主人公に近づく。
京アニはやっぱり学園☓青春(+恋愛)が多い中で、この作品は異質だと思う。
見始めて最初はこの作品の意図が読めなかった。京アニだからきっと何かある、と思って見ていてもずっと戦闘ばっかで「ん~」と思っていた。
まあ、「涼宮ハルヒの憂鬱」も学園ものだけどSF要素はあった(どっちかというとコメディ要素が強かった)。
「境界の彼方」はダークファンタジーでほどほどのシリアスなアニメだな、と感じながら見終わってしまった。
でも、このアニメの言いたいことはあるはずと思い、ここに書きます。
●まず、妖夢は作中でも言っていたように、「人の心の歪み、憎しみ」などの負の感情に呼ばれてくるものらしいです。つまり、現実で言うところの「負の連鎖」と言ったところでしょうか。(「ポルターガイスト」は言いすぎですかね(笑))
人はマイナスの感情を持って色々物事をこなすと失敗しやすいですよね。作中での「異界士」は妖夢、つまり負の感情を退治する。「前向きな人」、というよりは「自分と向き合える人」と思います。
●次に、主人公とヒロインについて。
物語はヒロインの自殺未遂から始まります。話は飛んで後半は、ヒロインが命と引き換えに主人公から「境界の彼方」を取り除き、ヒロインと「境界の彼方」が消滅(?)します。(書くとダラダラになりそうなので、途中は省きます。)最終的には「境界の彼方」を再び主人公に戻し、ヒロインも無事でハッピーエンド。
二人は半妖(半分人間、半分妖夢)と呪われた血を持つ。これは、普通の人とは違う人を描いている。1話での自殺の試みといい、そこから連想すると、異質な自分には居場所が無いという感じかな。最終回では、死んだと思われたヒロインも生きていた、ここから異質な人、居場所がないと思っていた人にも居場所がある、ということを暗示しているのでは。(あくまで個人の見解で、深読みかもです・・・。)
二つの点から考えると、「一度自分を見つめる。そうすることで自分を想っている人が一人でもいるかもしれない。居場所はあるはず。」というメッセージを、自分は勝手ながらこのアニメから受け取った(笑)
考えすぎだとは思うけど、そう考えると何かすごく現実味を帯びてくる。きっと、どこかで「ただのダークファンタジーにしたくない」と思っているのだろう。
京アニなのでつい深読みしすぎちゃいました・・・。
境界の彼方/茅原実里(OP)もDaisy/STEREO DIVE FOUNDATION(ED)もともに良曲。