りおんぱん さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「銀河の歴史がまた1ページ」
【銀河帝国】
貴族とは名ばかりの貧家に生まれた
ラインハルト・フォン・ミューゼルは
敬愛する姉のアンネローゼが皇帝の後宮に納められたことで
ゴールデンバウム王朝への憎悪を抱き
彼女を取戻すだけの力を得るために
親友のジークフリード・キルヒアイスとともに
帝国軍幼年学校に入学して軍人になり
腐敗したゴールデンバウム王朝を打倒し
「宇宙を手に入れる」という野望を抱いた
【自由惑星同盟】
本来は歴史研究家志望であったものの
両親の死により歴史を無料で学ぶ方便として士官学校に入学し
不本意ながらも軍人になったヤン・ウェンリー
ヤンは暴力機関としての軍隊を嫌い、退役生活を夢見ながらも
その軍事的才能によって望まぬ武勲を重ね、やがて提督に抜擢された
本人の意思とは裏腹に数々の戦いに身を投じることになる
~感想~
原作未読 全110話
本伝1期 全26話 第1~26話
本伝2期 全28話 第27~54話
本伝3期 全32話 第55~86話
本伝4期 全24話 第87~110話
国家やテロ、戦争にその戦争の戦略や戦術
また政治や謀略の駆け引きすべてにおいて
考えさせられる作品であったと思います
描かれる歴史絵巻は圧巻の一言
主に視点が2つの勢力に別れ
1人の英雄を取り上げた日本風歴史伝記ではなく
複数勢力の絡み合いとドラマが楽しめる
そのため単純な敵・味方関係ではなく相手に共感しつつも戦う
ついどちらの勢力も応援したくなってしまうのも魅力
あなたは帝国派?同盟派?とつい聞きたくなります
私は完全同盟派です!
同盟側を主軸として観てしまっていたので
帝国側になるとダレてしまうことがありました
ダスティ・アッテンボロー
ワルター・フォン・シェーンコップ
オリビエ・ポプラン等と常日頃から毒舌会話は面白く好きでした
同盟側での一番の衝撃を受けたところはヤン・ウェンリーの死
ヤンの死によってヤン艦隊が絶望・喪失感、先が見えなくなった未来が
どっと圧し掛かりましたが私も喪失感でいっぱいになりました
ナレーションやEDで死亡フラグが立っていたのを
気づかないフリをしていたが最悪の未来になってしまいました
ヤンが死んでからのEDを観るととても悲しかったです
ヤンが死んでからは帝国側がメインでしたね
ユリアン・ミンツには申し訳ないけど
ヤンと比べてしまうと役不足と思ってしまう
ポプランの忘れられないシーンと言葉があります
「何だっておれがヤン・ウェンリー以外のやつの
命令をきかなくちゃならない?」と言ったポプラン
明るさが失われ酒に溺れて荒れた姿が印象に残ります
「俺はヤン・ウェンリーの下で服従心と忍耐力を使い果たした
これから先死ぬまで誰にも頭を下げる気はないし
誰の家にも繋がれるのはごめんこうむりたいね」
どれもヤン絡みのですね
もう1つの大きな「死」と言えばキルヒアイスの早すぎる死
これにもかなりの衝撃を受け、帝国側では一番好きなキャラでした
この死がなければラインハルトがあそこまでひたむきに
宇宙統一を求めることも無かったかもしれません
「ヴェスターラントの惨劇」をきっかけにラインハルトとの亀裂が生じ
ラインハルトと自分の正義が違った場合どうするか?
このシーンを観てキルヒアイスは裏切ってしまうのでは?
と考えましたがそんなことはありえずこの後は死に至ったわけですが…
オスカー・フォン・ロイエンタールも裏切るのではないか?
と考えていたが思ってもみない方向性の裏切りで
ウォルフガング・ミッターマイヤーがいうように
かたちは裏切りだが裏切らない忠誠心がありました
戦争シーンは宇宙艦隊戦で個々の艦同士の一騎打ちではなく
もっと大きな部隊同士の戦いを中心に描いている
これはなかなか斬新で指揮官をメインにした戦術バトルや
もっと大きな戦闘前からしかけられる戦略の駆け引きがとても魅力的
特に同盟側の魅力は小が大に勝つっていう面白さ
ただ小が大に勝っても得られるのは個々の戦争での戦術勝利だけで
大の戦略的な力になかなか対抗しきれない
このなんとも言えないリアリティがまい面白いところ
逆に帝国側の魅力は多彩な人材で王道側の魅力
貴族の興隆と没落。1つの政府の終焉。
そこに関わるそれぞれの主人公を取り囲む武将達の心理に加えて
主人公達をより掘り下げることもしっかりと描いている
帝国側はラインハルトの出世物語を基本として王の苦悩まで描き
同盟側はヤンの民主主義の功罪に縛られつつも
歴史・政治とはそして理想の追求と現実の難しさを皮肉っぽく描写する
そこに至る経緯がしっかりと描かれるから物語に厚み出てると思います
ナレーションが多く使われいるのが気になりましたが
作品紹介のリストを眺めるだけでも目眩がするほど登場人物が多く
壮大な物語なのでそれぞれの人物達の考えの背景を外側から支えて
見通しよく見せる意味でもこのナレーションが果たした役割は
大きかったんではないかと思います