アリア社長 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
【NHKの本気】アラサー女用心棒による皇子救出劇【大作】
【概要】
神山健治(監督)×プロダクションI.G(制作会社)の『攻殻機動隊S.A.C.』スタッフが提供する人の世と精霊の世を描いた異世界ファンタジー。
全26話。
原作は小説(ラノベにあらず)。
原作者の上橋菜穂子(うえはし なほこ)さんは児童文学界のノーベル賞とも言われる『国際アンデルセン賞作家賞』を受賞された、その分野では超一流の作家さん。
【あらすじ】
主人公の女用心棒バルサ(30歳)は真ヨゴ皇国の第二妃から、精霊に卵を産み付けられた息子・チャグム皇子(11歳)を連れて宮殿から逃げ出してくれと、半ば脅迫まがいの依頼を受ける。
バルサは皇子に憑いたモノを疎ましく思う父王と、皇子の身体の中にある卵を食らおうと狙う異界の怪物の双方から、無事チャグム皇子を守りぬくことが出来るのか・・・?
【感想】
NHKが本気で作った大作アニメ。
1話冒頭の遠方まで連なる山々のシーンで、すでに大作のオーラを感じ、また「このアニメどんだけ予算かかってるんだ?」と今までアニメを見てて思い浮かんだことのない疑問が頭をよぎりました。
明らかに従来のTVアニメの域を超えた映像作品。
【主に良かった点4つ】
①背景美術
雪のかかった山、生い茂る森、流れる小川、道中広がる田んぼ。
その全てが丁寧かつ美しく描かれており、ただただ圧巻。
TVアニメでこのレベルの背景を最終話まで維持できた作品は早々ないと思います。
②日常と非日常、どちらも丁寧に描かれている
バルサとチャグム皇子には様々な脅威が降りかかります。
それらの脅威を振り切りつつ、精霊の卵の謎を解き明かしていく非日常のお話は見ててハラハラ・ドキドキしました。
またバルサとチャグム皇子の日常生活も丁寧に描かれており、結果キャラ個人およびキャラの関係性に深みが増してます。
2人の間に自然と母と子のようなキヅナが生まれていく様は見ていてグッと来ました。
様々な出来事を体験した皇子がやがて宿命を背負った一人の男として、そして一国の皇子として成長していく様も見所の一つです。
③迫力満点の戦闘シーン
NHKアニメでかつ主人公が30歳女性と聞いて、視聴前は凄く地味な作品なんじゃないか?と勘ぐってましたが、全然そんなことありませんでした。
戦闘シーンではTVアニメでもトップレベルの動きを見せてくれます。
私はあまりの迫力に思わず息を呑みました。
「戦闘シーンが凄いアニメといえば?」なんてスレッドでは結構な割合でこのアニメの名が挙がってます。
④本格的に作りこまれた世界観
作中に登場する古くから伝わる伝承、風習、民族衣装、料理などの設定は、フィクションとは思えないほど事細かに作りこまれており、ファンタジー世界にリアリティを与えています。
それに関しては原作者である上橋菜穂子さんが作家であると同時に文化人類学者でもあるため、文化人類学の知識・視点が作品の世界に命を吹き込んでいるのだと思います。
間違いなく名作・大作の部類に入る作品だと思います。
興味が湧いた方はぜひ。