ワタ さんの感想・評価
4.4
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ありのままの青春を描き切った京アニ渾身の力作。
最終話、麗奈のソロパートに入る場面での、麗奈と滝を交互に映すカット割が秀逸。ここ、マジで注目ですよ。
そのあとの、ソロ演奏を聞き入る香織と優子の何とも言えない表情がまた・・・
もう今年はこれを超える作品は出ないんじゃないかなーって決めつけてしまってるわけですが、
本作の欠点として、作品の「核」がないというのが挙げられると思う。
何を主題として見せたいのか。萌え、スポ根、部内のゴタゴタ、友情、恋愛、音楽の素晴らしさ・・・
まあ全部ひっくるめて「青春」でいいとは思いますが。
核がないというのは、吹部メンバー自身にも言えることで、2話や11話での投票シーンに象徴されるように
主体性のなさ、なんとなくその場の空気に流されてしまう様子が描かれます。実にリアル。
原作1巻だけ読みましたが「真面目に練習する風潮、ファックだね」だった去年に比べて、
今年はコンクールに出れなくて本気で泣いてる部員がいることの胡散臭さにも触れられていて、
正統派のようでいて、アンチスポ根・アンチ青春的な要素があるのも面白い。
そういった多数を占める意志薄弱な部員との対比で、
受験のために退部したり、我関せずな姿勢を貫いたり、他人とは違う「特別」なりたがっていたり、
そんなキャラ達の個性が一際輝いてるように見える。
はじめはモブ側にいた主人公が変わっていく様子も見所ですね。
ところが「個性」を描くことでその人物の暗黒面が浮き彫りになり、結果的に視聴者の反感を買ってしまうことがある。
優子のしでかした行為に対して、一部で猛烈な批判が渦巻いていて、何だか複雑な気持ちになった。
彼女の胸のうちにどれ程の葛藤があったかを感じ入るところだと思うんですが、
擁護派と否定派に分かれて言い争ってるのを見てると・・・なんというか、スタッフに同情しちゃいますね。
○青臭くて美しい、久美子と麗奈の関係性
重要なのは、お互い本命の男がいるということですね。
8話のシーンはまるで不倫現場を見てるかのようで背徳感が凄まじかったです。
これは別に媚びてないと思うんですよね。
結果的に媚びてるように見えるだけで、本気で釣るならもっとソフトタッチにするでしょう。
萌え豚を大量生産してきた京アニさんですから、その辺りの匙加減は熟知してるはず。
サービスシーンとかではなく、思春期特有の、変に気分が盛り上がって突き抜けちゃう感じを表現したかったのだと思う。
自意識が極限まで高まっていて、見ていて本当に痛々しいんだけど、そこがいい。痛いのは嫌いじゃないし。