蓬(Yomogi) さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
タイトルなし
1クールではあまりに短い。これはぜひ2期が欲しいところ。
全体の構成も2期を十分出来るものになっているようだ。
最初はヒロイン二人の友情もの、中盤は青春の恋愛エピソード、最後のほうは群像劇に近い。
1クールにしてはちょっと詰め過ぎの印象がある。
当初の通り、ヒロイン2人の友情物に落としておくという手も十分あったのに、何故最後に群像劇のような締め方をしたのだろう。
多分それは本当は群像劇をやりたいという思惑があったからではないだろうか。
自分はこの作品は群像劇に非常に向いていると思っている。
キャラクターの立ち方も、役割もすべて群像劇向き。
はっきり言って少女漫画的女の子の友情物物語は必要なかったくらいだ。
最初の平凡な久美子と才能あふれる麗奈の関係は少女漫画でよくある女の友情物である。
百合展開と囃し立てられていたが、少女漫画では手垢が付いた定番過ぎるテーマ。
目の前のことしか視野に入らない若者特有の熱さが最終回まで貫かれるかと思っていた。
その場合、天才型のヒロインが世界への階段を駆け上っていく姿を主人公が見守りながら語り部になる構成。
しかしこの作品は予想に反して周りの人々を描き始める。
幼馴染との仄淡い恋、友達との三角関係、続いて部内のオーディションとそれを取り巻く先輩後輩の関係。
久美子と麗奈の関係はこの時点であまり物語りに関係なくなってしまう。
吹奏楽部を中心に描こうとすればするほど、プロを目標にしている麗奈は存在自体が浮いてしまう。
部活というのは学校生活でのみ存在するレクリエーションだから、将来を天秤にかけて部活を軽視する人は多い。
麗奈がトラペットに本気ならば余計に部活動に熱心になる描写に違和感が感じてしまうのだ。
ということは最初の久美子・麗奈のペアでの描写はもっと抑え目にするべきだったのではないかと思う。
ペアが描きたいのか部活が描きたいのか、前半と後半で軸がシフトしたような気がする。
ということは、中盤の恋愛描写はなおさら不要。
最終回周辺が駆け足だったことを考えると、群像劇を優先させたほうが最終回で素直に感動できたと思われる。
そう、自分は最終回で感動した。吹奏楽に青春をかける高校生たちに。
だからエンドロールで彼らが映し出されたとき「どうしてこの子達のエピソードがないの?なんで2クールじゃないの??」と物凄い疑問を抱え込んでしまったのだ。
あんなに一生懸命演奏してたのに、皆で作り上げた演奏で優勝したのに、なんで物語のほとんどが久美子と麗奈の話で占められてしまったのだろう。
納得がいかない。
またキャラクターたちの個人的問題もあまり解決されていない。
部活より受験を取った葵、恋愛をなあなあにされてしまった秀一、自分のことは棚に上げている副部長、謎が一切説明されなかった滝先生。
このあたりも含め2期があって当然の物語だと思う。
最後に作画について。
ここのスタジオは毎度新作のたびに画面が綺麗になっていくので、改めてコメントすることがあるようでない。
楽器作画も綺麗(特に金色の表現)、人物の動きも綺麗、小物の作画も綺麗、デジタルエフェクトも綺麗。全部綺麗です。
次も期待しています。