蓬(Yomogi) さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
タイトルなし
設定だけ見ると面白そうだったのだが、いろいろ作りこみの弱さが目立つ作品だった。
作画も綺麗で、一つ一つの描写も丁寧、キャラクターの性格も愛らしいのに、SFの設定とそこからつむがれるストーリーがあまりにもふわふわし過ぎている。
ロボットである必要性が全くない、むしろロボットにしたこことがストーリー上致命的な欠陥になってしまっている典型的な例だろう。
話の構造としては不治の病におかされた話のハイライトだけを切り取ったようなものなのだから。
ありがちな話なのだから、この作品らしいオリジナリティを付加して欲しいところ。
そこをSFの設定にすることで補うのがオリジナルストーリーの強みではないのか。そこをおざなりにしてどうする。
辛口になってしまうのは自分がこの作品に「老い」を描くアニメとしての可能性を1話目で感じて期待してしまったからだ。
物忘れや頻尿といった分かりやすい描写もさることながら、認知症の症状や意識はあるのに思い通りにならない体、受け入れるしかない死など、今私たちが直面している「老い」に対する感情を描いて欲しかったのだ。
今まで生老病死の中で「老い」だけがアニメのテーマとして避けられている。
アニメは若い視聴者を対象としてモノだから、「老い」がテーマとして選ばれないのは当然といえば当然。
しかしここまで百花繚乱のアニメなのだから、一つぐらい「老い」を向き合った作品があってもいいはず。
自分は「老い」と向き合った作品が見たい、そう思っての1話だから後半の展開にかなりがっかりした。
不治の病に冒されたヒロインでは描けないもの、それが「老い」である。
寿命を全うする避けられない死、必然の死をアニメで描くことが出来るのかという問いに、この作品はNOを突きつけた形となった。
非常に残念だった。
「死」を受け入れるのは当人も周りの人にとっても葛藤を生じる。
しかしなぜ葛藤が生じるのか、という点についてもっと掘り下げて欲しい。
相手が好きだからとか、仲間が好きだから、死にたくないとか、そういうレベルではない。
自分の人生が終わってしまう、という恐怖は生き物ならば到底受け入れられるものではない。
何のために生まれてきたのか、という疑念が頭の中を駆け巡る。
人間はその回答を見出したとき、生の終わりを受け入れられる。
しかし主人公もヒロインも何のための生なのか、という点は全く言及していない。
SFだから深く考ても仕方ないのか?
ギフティアは「何のために生まれてきたのか」は既に決まっている存在だから?
生まれてすぐに労働に従事する彼らの「生」は活動限界と共に終了する。
そこに疑念はないのか?
ギフティアが死ななければならない理由は何なのか?
なぜその死を覆そうとしないのか?
まるでわからない。
それではアニメの中の彼らの涙には全く共感の余地はない。
彼らがなぜ死を受け入れているのかまるで分からなかった。
生きることの意味を問うてないのに、死を語られても説得力がない。