玄 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ホンモノって、何?
私のこの作品に対する率直な感想は、「よくわからなかった」でした。しかし、その中でも感じたことや考えたことがあるので、いつも通り書いていこうと思います。
◆この作品で伝えたかったこと◆
この作品で描きたかったことは、主に 2 つあると思います。
1 つは、「ホンモノは何か」ということ。
正直、これについてもよくわかっていません。でも、一つ思うのは、この作品は物語を通して、「ホンモノとは一体何なのか」ということを視聴者に問題提起しているのではないか、ということです。
この俺ガイルという作品は、とても現実的な視点で作品全体が描かれていると思います。(詳しくは 1 期のレビューに掲載予定。)例えば、けいおん!のような理想的な信頼関係や絆を描いた作品は、星の数ほどある。でも、それは現実的にあり得るものなのか。本当に、永遠に続くような絆が存在するのか。そもそも、ホンモノの人間関係とは何なのか。
ホンモノって、何?
これに対する答えは、正直よくわかりません。哲学的に考えても、答えは出なさそうですし、この俺ガイルという作品自体がまだ完結していないので、答えは見えないまま、というのが現状だと思います。(理解力の無い自分を正当化しているわけではありません)
そもそも、このホンモノは、「人間関係」のホンモノなのか、「恋愛」のホンモノなのかも、よくわからない。なので、とりあえず私は、俺ガイルの完結を待とうかな。私には、難しすぎる。
描きたかった 2 つ目は、「少年少女たちの成長」だと思います。
この作品には、なかなかリアリティーあふれるキャラたちが登場しています。高いスペックは持っているが、腐った魚のような目をしているためにいつもボッチの少年H。才色兼備でありながらその実は借り物で、本当の自分がわからない少女Y。いつもまわりにやさしくて人間関係を築くのは得意だけど、まだ自分の力を見つけられていない少女Y。
社会を生きていく上で必要なもの、それは能力や才能といった「個性」と、協調性や人間関係形成力といった「社会性」だと思います。
高校生にある彼ら彼女らはまだ、そのどちらかしか持っていない。だから、様々な奉仕活動を通してぶつかり合い、否定し合い、お互いを知って、自分という人間を知っていく。
社会に適合できる人に成長してほしい。その想いを胸に彼ら彼女らを見守る平塚先生。愛故か、憎しみ故か、わかりませんが、陽乃もその想いで接しているんだと思います。(そう願いたいです)
相手を知って、自分を知る。自分を知って、相手を知る。それが「青春」で、もしかしたらそれが「奉仕部」なのかもしれません。
◆ 2 期より 1 期の方が面白いと感じてしまう理由◆
はい。いい機会なのではっきりと申し上げさせていただきたいと思います。(不快に感じた方はすみません。)それは、「制作会社が代わったから」です。
私は視聴前から、制作会社が「ブレインズ・ベース」から「 feel. 」に変更したことによる、クオリティーの低下を危惧していました。 feel. も決して嫌いな制作会社ではないのですが、(『みなみけ ただいま』はお気に入り作品です)、ブレインズ・ベースは私の好きな「アニメ制作会社四天王」に数えられるほどのお気に入り(詳しくはランキング参照のこと)だったので、変更のショックと不安は大きかったのです。しかしその予感は、案の定的中してしまいました。
ところで、私は仕事柄、ある明確な考えを持っています。それは、「制作者側の技術や作品に対する理解度によって、作品の内容や魅力が伝わる度合いが大きく変化する」ということです。
もちろん、その作品の内容や魅力を理解できるかどうかは、内容自体の難しさや受けて側の理解度も大きく関係してきます。しかし、想像してみてください。「暗い、わかりにくい、笑い所がない」授業を聞いていたとしたら、どう感じますか。おそらく多くの方は、「つまらない、退屈だ」と思うのではないでしょうか。
さて、制作会社が代わった 2 期では、 1 期との違いを出すために、様々な工夫をしていると思います。
1 つは、絵の色彩とキャラデザの変更。 1 期はブレインズ・ベースお得意のカラフルな色彩。それに対して 2 期は、シリアスな展開にあわせて暗い感じの色使いになっています。また、コメディ要素を引き立たせるために、ちょっと崩した感じで描かれていた 1 期のキャラデザに対して、よりスマートさやシャープさを追求した 2 期のキャラデザ。
結論を言いますと、この時点で私は軽い拒否反応を起こしました。色彩の方は「なんか暗いなー」くらいなのでいいのですが、キャラデザの方は、私の場合、どう見ても 1 期ほどかわいく見えない。 1 期で感じられた内面的魅力も残念ながら伝わってこない。(おそらく、主に表情や動作などの表現技術の低下による。)そのせいで、画面を見つめる集中力は 50 %減となりました。
2 つ目は、ストーリー内容の変化。 1 期がコメディ要素が強かったのに対して、 2 期は作品の核心部分に迫ってきたこともあり、シリアスな展開重視に。これは制作者側が意図してやったことではないかもしれませんが、八幡と雪乃との痛快な会話劇が減ってしまったことは、とても残念でした。ストーリー展開上、致し方ないことではあったと思います。が、しかし、 1 期よりもキレがないように感じられたのは、私だけでしょうかね。
そして、この 2 期俺ガイル続の最大の魅力である「ホンモノを探す物語」。最初にも書きましたが、ここがやはりよくわからない。特に、雪乃の言動や行動。私は彼女のように、強くもないし正しくもない。貧○ではあるけれど、黒髪ロング美女でもない。(当たり前だ。)だから、彼女の心情や気持ちを理解するのに、とても苦労しました。(てか、理解できていないことばかりです)
そして、やはりホンモノはよくわからないし、第 8 話や第 13 話の 3 人の本心を隠した抽象的な会話も、よくわからない。(なんとなく、ならわかります)
ただ、第 6 話~第 10 話にかけての合同クリスマスイベント。ずっと「勘違い野郎どもの、至極つまらない会議だな」と思っていましたが、実は {netabare} あれが「ぬるま湯状態にあった奉仕部」を暗示していたことに気づいた時は、少し嬉しかったです。そして、自分の理解力の無さを反省しました。 {/netabare}
俺ガイル続は、よくわからない。終始これが私の感想ですが、ふと立ち止まって考えると、これがこの作品の「魅力」なのかもしれません。よくわからないのが「ホンモノ」で、よくわからないのが「青春」で、よくわからないのが「やはり俺の青春ラブコメ」
そう考えると、 feel. の演出や表現は、適切なものだったのかもしれませんね。(皮肉ではありませんよ)
◆まとめ◆
やはり総合的に判断すると、コメディとシリアスシーンとでメリハリがあった 1 期の方が私は好きです。
ただ、みなさんのレビューを拝見すると、 2 期はけっこう原作を詰め込んだため、端折られている部分があるようです。そうだとすると私も原作を読んでいれば、もう少し理解できたのかな、もう少し楽しめたのかなと思いました。
2 期は人間関係の問題から、恋愛関係の問題へと変化している過渡期だと思います。そのため、このまま終わりになると完全な消化不良に陥ります。そうならないためにも、もっと俺ガイルの世界を楽しむためにも、 3 期があることを心から願います。
ずっと「よくわからない」と言ってしまい、すみませんでした。そして、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。