「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続(TVアニメ動画)」

総合得点
88.0
感想・評価
3090
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15760
ランキング
135
★★★★☆ 4.0 (3090)
物語
4.0
作画
4.0
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.2

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ネタバレ

sekimayori さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

<長文>表出する感情の魅力+ダブルヒロインとテーマ分担(結衣ファンの妄言) 【77点】

奉仕部に集う彼と彼女と彼女の青春ドラマ2期。
2期部分は原作未読。
読み取り方間違えてる可能性も大なので、あしからず。


■表出する感情
2期は、1期で積み上げてきたものの「欺瞞」を暴き、本当に求めるべき道を模索するストーリーでした。
1期の軽妙なノリは鳴りを潜め、終始シリアスな展開が続く2期でしたが、その中で露呈・表出する三人やその周囲の感情にはとても見所があったと思います。
{netabare}
①八幡
雪乃・結衣との衝突、自分の方法論への懐疑を経て、人間関係に一番臆病な彼が、「本物」の人間関係を追及することへの欲望をあらわにする。
余りにもめんどくさい、でも思春期には誰もが抱えるセンシティブさを爆発させる姿には、懐かしさと愛しさを感じました。
めんどくさいものを否定せず、「めんどくせーな」という客観的な視点を保ったまま寄り添う本作の姿勢には、非常に好もしいものを感じます。

②雪乃
主人公に救われるべき女性、という意味ではヒロイン力がカンスト寸前。
八幡への慕情が、恋愛感情ゆえか、姉に看破された依存体質ゆえか、判然としないまでになってしまいます。
己の中の八幡の像と現実の彼の姿とのズレに戸惑い、拒否し、でも依存し思慕することを止められない。
雪乃に常に強くあることを求めてしまう自分の幻想に1期時点で気づいた八幡とは対照的。
氷の微笑の裏に隠された弱さを露呈する雪乃は人間臭く、とても美しかったです。
ただし最終話、姉に対し八幡の言葉をそっくりそのままコピペ返答し、結衣の言葉にもすがりかけるなど、その依存の根深さも垣間見えます。

③結衣
1期から一貫して奉仕部の潤滑油になり、そのことが逆に「偽物」の関係の源泉ともなっていた彼女。
零れ出る雪乃の八幡への思慕を前に、最終話にてついに、思慮の上の想いを吐き出します。
個人的には、結衣の「全部欲しい」は、八幡との恋愛関係も奉仕部の三人の関係も、両方手に入れたいという意思表明に取れました。
ただしそれすらも、八幡が拒否すること=雪乃の本質的救済への端緒となること、を見越して発したように思えて、彼女の健気さに涙。

④その他
八幡の熱気にあてられるいろはす、超かわいい。
海老名さんや葉山の姿勢も否定されるべきではなく、共感する人も多いと思う。
折本からの歩み寄りも、年齢を重ねるにつれ視野が広がって色々な人を受け入れ、好きになれるという普遍的な事実の象徴のようで微笑ましかった(やったね妙ちゃん、ヒロインが増えるよ!)

ただし、展開の速さには閉口でした(小町と戸塚と材木座をもっと……)。
最終回もテーマを回収せず、結論を出せなかったので、その点は非常に残念。
雪乃は新たな強さを手に入れられるのか、結衣の想いはどこに行き着くのか、そして八幡は何を(どちらを、より広い意味で)選択するのか。
続編が作られ、完結すべき作品だと思います。{/netabare}


■ダブルヒロインとテーマの分担:結衣ファンの妄言
奉仕部三人の恋愛関係が終盤になってクローズアップされた本作。
以下、ダブルヒロインを取る物語構造上からはすげー当たり前のことを、由比ヶ浜信者の妄言に変換してお届け。
ん?
前提となる結衣の魅力がわからんだと?
あんなに献身的で露骨に好意よせてくれて八幡(と雪乃)を下手したら本人以上に理解してくれてるちょっとおバカだけどめちゃくちゃ聡くておっぱい大きいかわいい東山ボイスの女の子、他にいねえだろ!
(´・ω・`)↑もう完全にアレ

作品のテーマとヒロインの選択には関連性があるはずだよ、ってお話です。
お時間ある方のみどうぞ。
{netabare}
物語の登場人物は、それぞれテーマを描くために配置されるのが基本です。
本作のテーマは、人と人の「本物」の関係性。
単に人間関係の「真贋」を描くのであれば同性間でよくて、男女、しかも三角関係である必要性は薄い(本作がラノベだという一点を除けば)。
にもかかわらず、あえて男一人、女二人を配するのはなぜなのか?

男女間の関係性の形態は、一般的に
①いわゆる恋愛関係
②恋愛関係抜きにして通じ合う関係   の2つ。
本作が本物の人間関係をテーマに掲げる以上、あえて三角関係を採用したのは①と②の両方を描き出すという懐の深い試みをしているから、と読むことが可能です。
じゃあ具体的に、誰が①を、誰が②を担当するのか。

雪乃は八幡と似たもの同士で共鳴する一方、方法論や流儀の貫徹の面での齟齬がある。
お互いに己の願望・エゴを押し付け合う、という相互に一方通行な関係性でもある。
その断絶を、相互理解によってどう乗り越えるか。
2期前半から中盤で八幡の方法論と本音の齟齬が明かされたのはその表出であり、後半では解決の糸口・ツールとして雪乃の依存からの脱却・自律という明確な物語が付加されました。
これにより、雪乃は①にとどまらず②の役割も担える、という方向性が見えます。

一方で結衣にとっては、本作は八幡への恋物語でしかありません。
物語の初めから恋慕の対象として八幡に遭遇した彼女のストーリーは、その想いの上にしか成り立っていないのです。
だから、ガハマさんが担うテーマは、(八幡との関係性では)①のはず。

もしガハマさんが「滑り台行き」で、八幡と雪乃の関係性が恋愛に発展した場合、①②の両面が雪乃に収斂します
テーマに対するダブルヒロインの役割分担が、成立しなくなってしまうのです。
さらに言えば、人間関係構築スキルについての雪乃の「更生」も物語の別軸として成立し、ゆきのんの総取り状態。
これでは、最初から八幡と雪乃だけの物語にすればよかったじゃん、ってことに。
事実、それで物語を成立させられるだけの魅力がゆきのんにはあるんだし。
だから、作品構造上は、結衣に①恋愛関係でのポジティブな結末が用意されるのが自然に感じられるし、ガハマ信者としてそうなって欲しいと願っています。

ただアニメの演出上、確実にヒッキーはゆきのんにデレてる描写多いんですよねぇ……。
ヒッキーがもらわないんなら私がもらっちゃいますが、構いませんねッ!? {/netabare}


【個人的指標】 77点
(2015.7.2)
(2015.7.3) 誤字修正・圧縮

投稿 : 2015/07/03
閲覧 : 371
サンキュー:

23

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