タマランチ会長 さんの感想・評価
2.8
物語 : 1.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
酷評 ホント味気ないプラスティック・メモリーズ いろいろ残念な作品
私は泣き系大好きで目がないので、1話観たときこの作品への期待度はものすごく上がりました。キッチリ泣かせてほしいと。
しかし、ギフティアが{netabare}ワンダラー化することに対して、10年以上も対策が取れていないことや、それがもとで多くの人がひどい経験をしていることに対してまるで釈然としないモヤモヤ感が漂い始めます。
さらに、ツカサが告白した後のアイラとの距離感がなんとも気持ち悪い。恋人関係というのが一番自然なんだろうけど、欲情するでもないツカサのアイラに対する接し方がじつにプラスティック(無機質)な感じで違和感ばかり。こんな感じでだらだら12話まで漫然と時を過ごす二人。大切な思い出ができたの?{/netabare}感情の起伏のない無機質な思い出(プラスティック・メモリーズ)しかないんじゃないの?って言いたくなります。
8話のおばあちゃんの選択{netabare}「OSを入れ替えて、新しい人格のギフティアと寄り添っていく」というのに大変納得してしまい、この物語の幸せな結末が見えてしまいました。{/netabare}「アイラが起動を停止し、新しいOSで主人公とまたコンビを組む。」そうなると、アイラとのお別れも割り切って考えられるようになり、ドライな感情でその後を鑑賞することになってしまいました。 {netabare}実際ラストシーンでは手しか映っていませんでしたが、予想通りでしょう。
最終話の観覧者が一周するまでの別れの描写が一番の見せ場だと思うんですけど、ここでの二人の会話は実に漫然としていて月並みで面白みがない。最後のアイラの手紙も同じ。「ターミナルサービスは思い出を引き裂く仕事なんて言っていたけど、全然違う」みたいなことを言い出しますが、常識的に考えれば最初から「思い出を引き裂く仕事」などと揶揄されたりへりくだったりする必要のない立派な仕事だったわけで、「そんなこと言う方がおかしい」という実にまともな感想しか持てませんでした。
さらに、最後のツカサの独白「もし自分の寿命があらかじめきまっているのなら、その中で精一杯生きようと思う」なんて言っていました。しかし、アイラやツカサの時間の使い方はどうだったのでしょう。私には漫然と日常をこなして静かに死を待っている感じで、とても精一杯生きようとしてたようには見えませんでした。
{/netabare}とにかく全編予定調和でつまらない。サプライズがない。これは四月はキミの嘘の時にも書いたけど、最大の泣き所では何かしらサプライズがないとダメ。同じ泣き系で、「あの夏」と比べると「観覧車」のシーンが「8mmフィルム鑑賞」にあたると思います。レモン先輩が彼らの「青春の一番美しい場面」を編集していた事実に驚き、そこに映し出される思い出はだれが何を話すわけでもないのに本当に美しくて切なかったんですが、この作品はそれには遠く及ばなかったです。
ウィキで調べたところ、この作品だいぶ昔にできていて、10年位寝かせていたということなんですけど、その間冷凍庫の中で冷凍されていて、全然熟成しなかったんだなと思わざる得ません。まさに1話のおばあちゃんエピソードが最大の泣き所となってしまいました。期待していた分、残念感が半端ないです。