あしすと さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 2.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
もったいない これはさすがに もったいない
以下、
「素材は全然悪くないはずなのに、アニメとしては良くないアニメになってしまっている」
という方向性で、どちらかというと批判レビューになると思います。
それでも気にならない方だけご覧ください。
{netabare}
前置きをすると、自分にとっての「レーカン!」の序盤の印象はかなり高評価でした。
芳文社系4コマが原作ということでストーリーに安心感がありましたし、
これまでのアニメに多かったオーソドックスな女子高生の日常ではなく、幽霊と女子高生との日常というのにも新鮮味がありましたし、
ジャンルとして、ただの日常系コメディではなく、幽霊という故人をテーマとすることを活かしたハートフルコメディという面も、とても新しいと感じました。
(※厳密にはハートフルパートとコメディパートは分かれていましたので、ハートフルとコメディが同時にあったわけではないですけどね)
そして、井上さんがツンデレ可愛かったw
最近のいろいろな作品の趣向を凝らした様々なタイプのツンデレに比べたら、語彙が少ないオーソドックスなツンデレで目新しさはなかったですが、弱メンタル系ツンデレが好きな自分としては、雑味がなくて魅力的でした。
守護霊のおばあちゃんについて触れるときが特に可愛かったですww
しかし!!
ここまでは「素材」の面。
原作の時点でのストーリーやキャラクターの面。
じゃあアニメとしてどうかというと…、いかんせん「流れ」が悪すぎ!!
回が進むごとにそれが顕著に感じられてきて、だんだんストレスを感じるようになってしまいました。
ちなみに、「流れ」という言葉を使ったのは、「作画」と「演出・場面転換」の2点を含むためです。
まず、作画。
まぁこれについては低予算アニメなんだろうな~と、ある意味同情する感じです。
明らかに絵の枚数が少ないからなんでしょうけど、さすがに動きがぎこちなさすぎ…。
いくらなんでも人の動きとして不自然さを感じてしまう場面が多かったです。
動きがコミカルといえば確かにそうなんでしょうけど…、なんていうか15~10年前くらいのコメディアニメと同等(に感じられてしまう)の作画レベルというか…、目が肥えてしまった今となっては、どうしても作画に不満を持ってしまいますね。
その上で、全編通しての場面転換の悪さ。
作画の限界をフォローするような場面転換ができていれば、作画面の印象を少し改善できる気もするのですが…、このアニメについては作画の悪さをより際立たせるような演出になっていた気がします。
例えるなら、まるで4コマ漫画をそのままアニメにしたような静止画アニメを見せられているような感じ。
4コマって1本ごとにオチがあるから、それを全部再現すると明らかにオチ過多になるじゃないですか。そして、流れがイチイチ途切れるじゃないですか。
だから普通は4コマを再現なんてしないと思います。
これまでに他の4コマ原作系アニメを見ていても、そんな風に「流れがブツ切りだなぁ」なんて感じたことはありません。
が!
このレーカン!はすごくブツ切りに感じました。
流れの中でさらっと軽いオチを入れ込むんじゃなくて、小ネタであってもイチイチ場面転換でオチを入れて、BGMに「ちゃんちゃん♪」みたいな音楽を流していたイメージ。
そしてそのブツ切りオチの後は、何事もなかったようにストーリーの続きを進めていたイメージ。
まさに4コマにそのまま静止画で声をつけてアニメ化したというべきか、もしくは紙芝居を見せられているというべきか…。
また、紙芝居だからこそ動きが不自然になっていたイメージ。
演出がこんな感じだから、作画もそれに合わせた静止画みたいな絵が多くなるじゃないですか。
例えば4コマという制限の中だったら、「いくぞー!」「おー!(全員)」みたいなシーンを1コマの中に収めてもそんなに不自然に感じませんよね?
でも、このシーンをアニメ化するならこれを1シーンに収めたら滑稽になると思いませんか?
最低でも2シーンに分けないと「流れ」が不自然になる気がしませんか?
自分が伝えたいイメージとしてはこんな感じです。
(※あくまで全編を通してこういう「イメージ」だった、ということで、こういうシーンが実際にあった、ということではありません)
上記点から、「作画」と「演出・場面転換」が相乗効果で悪いほうに行ってしまっていたアニメ化、という印象です。
また、これはついでですが、ヤンキーコンビのキャラデザだけはなんとかならなかったものなんでしょうか。
(ちなみに厳密には灼髪のメシアさんは元ヤンだが、上原さんのほうはヤンキーではない模様w)
これは聖剣使いの禁呪詠唱のときも触れましたが、前髪で完全に隠れているはずの目が透けるデザインは気持ち悪いですよ。
てゆーか、個人的にはどうしても受け入れられません。
…と思って、原作をブックオフで立ち読みしてみましたが、この2人のキャラデザは目が透けたり透けなかったりしている模様。
でも、透けている場面でも特に不自然さは感じなかったです。
これはマンガかアニメかの違い?それとも頭身の違い?それとも純粋にキャラデザの違い?
いずれにしても、マンガで不自然に感じなかったものをアニメで不自然に感じてしまうということは、少なくともアニメ用に変更されたキャラデザが私には受け入れがたいものだったということなのでしょう。
もう一つ思い出したので、ついでその2。
11~12話の物語にだけネタバレ感想。
{netabare}あれだけはダメでしょう。
天海さんがなんで霊感を一時的に失って、なんで霊感を取り戻せたかの説明が一切なし。
あまりにも説明不足だったので何か見逃したんじゃないかと思ったんですが、その認識で合っていたようで。
そしてちょっと調べてみたら、原作読者曰く「天海の霊感については原作でも謎の部分が多いから、アニメで下手に触れられなかったのだろう」とのこと。
いやいやいや、だったら最初からこんなエピソード入れるなって!
てゆーか、詳細なメカニズムは伏せながらであっても、代返侍あたりに「母上と会ったことによって天海殿の霊感が一時的に弱まっていたのでござるよ」とでも、適当なセリフを言わせときゃ良かったんじゃねーの!?
物語についても、この点に関してはどうしても納得がいきません(^^;){/netabare}
というわけで、改めてになりますがこの「レーカン!」というアニメに対する個人的評価は、「素材は良いはずのにアニメ化で全面的にその良さをつぶしてしまった作品」です。
私は裏方さんについて詳細に触れることに興味がないので、誰が悪かったのかは知ったこっちゃありません。
ただ、一つだけ言いたいのは、京アニのけいおんとまでは言わないまでも、他のこれまでの芳文社4コマ系のアニメと同じクオリティでこのレーカン!という作品が作られていれば、少なくとも2000~3000枚クラスの円盤売上にはなったのではないか、ということ。
資金不足で低質のアニメしか作れないなら無理してまでアニメ化する必要なんかないのに…、と素人考えしてしまいます…。
(※ちなみに売上数を出した割に、私は円盤厨ではないので実は詳しいことはあまり知らないのですが、速報値では1000枚に届いていないみたいですね。まぁ、3000枚売れたところでそれが十分なのかは分かりませんが。){/netabare}